レポート Report

走行不足を払拭しコースレコードで予選3位

前回の富士のレースあとに、ここスポーツランドSUGOで事前にテストが行われた。台風の影響もあったが、限られた時間の中でチームは貴重なデータを得る事が出来た。

午前のセッションは天候が安定せず、ニュータイヤで予選前のタイヤ評価が出来なかったが、持ち込みのセットアップのバランスは良さそうだ。

Q1は伊沢拓也が担当。伊沢は早めにコースインをして、1分11秒台のタイムを叩き出したが、その直後に他車のクラッシュにより赤旗中断になった。車両回収のあとQ1は継続されたが、伊沢は順位を落とすことなくQ1を突破。

そして野尻智紀にQ2を託した。Q1、Q2ともドライコンディションだったが、野尻は午前のセッションをドライコンディションで走行していなかったので、短い時間の中で最高のパフォーマンスを発揮出来るかどうか不安に感じていた。しかし、野尻は見事なアタックでコースレコードを破るタイムを叩き出し、3番手のポジションを手に入れた。


鈴木亜久里監督のコメント

「ここに来る前にNSX-GTにはミッドシップハンディを追加される事が決まり、戦闘力に不安があったけど、チームとドライバーは車の性能を最大限に発揮してくれた。また、午前は予選と全く異なるコンディションだったのに、彼らは上手くまとめてここまで車を仕上げてくれたので感謝したい。明日はこの調子をキープして良い結果につなげたいね」

星学文エンジニアのコメント

「午前の走行は難しいコンディションでしたが、前回のテストの結果を踏まえて持ってきたセットアップが良い方向性だったと思います。途中天候が悪くなってきてしまったので、ニュータイヤの確認まで出来ませんでした。予選ドライで伊沢選手がQ1を上手くクリアしてくれましたが、タイム自体も向上しているので車の仕上がりが良い事が確認出来ました。野尻選手は午前中ドライコンディションで走れていなかったので不安はありましたが、きちんとまとめてコースレコードを出して戻ってきてくれたので流石だな、と思いました。明日は良いポジションからスタート出来るので、確実に上位でチェッカーを受けられるように戦略を組みたいです」

野尻智紀選手のコメント

「午前のセッションは殆どドライコンディションで走れていなかったので、タイムの上がり方が大きかったので、自分としては難しい予選でした。車のバランスは非常に良くて、ポールポジションを獲れるだけのポテンシャルはあったと思います。明日の決勝を見据えても良いバランスに仕上がっていると思います。明日は良い結果が出せるようにしっかり戦っていきたいです」

伊沢拓也選手のコメント

「無事にQ1を突破して野尻選手につなぐ事が出来ました。Q2はコースレコードを出す素晴らしい走りを野尻選手は魅せてくれました。午前からトリッキーなコンディションの中、しっかりまとめあげる予選が出来て、僕たちの強みをこういった状況の中で出す事が出来たと思っています。明日は良い結果を出せるように準備したいと思います」

SUGOの最終コーナーはウェイト100kgには厳しく後方に沈む

今年のスポーツランドSUGOにおける予選はA組、B組と2つに分けられてQ1が行われた。これは狭いコースの中でより走りやすい状況を作るという試みだ。

ランキング順位の奇数がA組、偶数がB組という組分けだ。現在、ランキングトップのARTA BMW M6 GT3はA組で予選に出走する事になった。

既にハンディキャップウェイトが100kgに達しているので、上り勾配の強いこのサーキットでは苦戦を強いられる事が予想された。

Q1はショーン・ウォーキンショー。ショーンは早めにコースインをしてクリアラップを狙ったが、やはりウェイトが重いせいか最終コーナーからメインストレートにかけては重そうに見える。

アタックラップに入ったショーンは各セクターでトップと遜色ないタイムを刻んできた。チームはQ1突破の期待をしていたが、やはり最終セクターでタイムが伸びず23位と後方に沈んでしまった。

しかし、ここは毎年順位が大きく変動するレースなので、少しでもポイントを獲得出来るように準備したい。


土屋圭市アドバイザーのコメント

「100kgのハンディキャップウェイトを積んでいるので、厳しい戦いになる事は分かっていた。そんな状況でもチームは車のポテンシャルを最大限に引き出してくれた。明日は1点でもポイントを獲れるように最後まで諦めずにレースをしたいね」

安藤博之エンジニアのコメント

「事前に行われたテストではドライコンディションで走れていなかったので、午前中はドライのセットアップを進めました。だいぶバランスの改善は出来たのですが、その後雨が降ってきてしまったのでドライでのセットアップを見る事が出来ませんでした。その後、ウェットで300の専有を走りました。まだウェットコンディションに合わせ切れていませんでしたが、原因はわかっていましたし、ウェットでは良いタイムを出せる見込みがあったので、良いポジションを狙えると思っていました。セクタータイムの良いところをつなげればギリギリQ1を突破出来ると思っていましたが、ハンディキャップウェイトの重さも効いてきてしまい、目標のタイムを出す事が出来ませんでした。明日は戦略をしっかり組んで、ポイントを獲得出来るように頑張ります」

高木真一選手のコメント

「雨を望んでいましたが、予選はドライになってしまってしまいました。しかし、朝の走行ではそこそこ良いバランスを見つける事が出来たので、ギリギリQ1を突破出来るかどうか?というポテンシャルでした。ショーンはQ1で遅い車に引っかかってしまったので、良いポジションを得られませんでしたが、明日はポイントを1点でも獲得出来るようにチームと戦略を組みたいと思います」

ショーン・ウォーキンショー選手のコメント

「とても残念です。ボク達は午前のドライコンディションの走行で苦戦しましたし、ボクはドライコンディションで走れなかったので、チャレンジングな予選になりました。明日はタイヤの戦略をしっかり組んで少しでもポイントを獲得出来るように頑張りたいと思います」

二人の果敢な走りで2位表彰台を確保

3番手という好位置からスタートを切れるポジションを手に入れたARTA NSX-GTだが、気になるのは気温だ。予想より高くなったコンディションで、どのようなタイヤマネジメントと戦略を組んで行くかが鍵だった。

決勝直前のウォームアップでは、タイヤ中心にセットの確認を行った。グリッドでこの気温に合わせたアジャストを行い、ファーストスティントを走行する伊沢拓也を送り出した。

全車クリーンスタートを切り、伊沢は3番手をキープしたまま周回を重ねた。伊沢のペースは非常に良く、9周目には2番手の車を抜くことに成功。

しかし、徐々に300クラスのラップダウンの車両が現れ始め、混乱の中、19周目には元の3番手にドロップ。しかし、ペースは悪くない。そのまま周回を重ね、34周目に再び2番手にポジションを上げ、38周目にルーティンのピットインを行い、野尻智紀に交代。チームはノーミスで野尻をコースに4番手で送り出した。

野尻のペースも良く、47周目には3番手に返り咲く。2番手の車両のコースアウトもあり、57周目には2番手に浮上。トップの車両よりペースは速く、少しずつマージンを縮めていった。

そして、毎年荒れるここのレースだが、500クラスの66周目に300クラスの車両がコースアウト。セーフティーカーが入り、一気にトップとの差が縮まった。残り6周でリスタートされたが、コースアウトする車両が数台出てしまい、イエローフラッグもあり、そのまま2位でチェッカーを受けた。

トップも狙えるペースだったが、チャンピオンシップを考えると、ここで大量ポイントを獲得出来たのは非常に大きい。気を引き締めて終盤戦を戦っていきたい。


鈴木亜久里監督のコメント

「非常に良い流れでレースが出来たね。途中難しいところもあったけど、チームもドライバーも集中力を切らさずに戦えたのがとても良かった。残り2戦は更に厳しくて難しいレースになるけど、ひとつひとつ確実に組み立てていって、1戦1戦結果にこだわってレースを戦っていきたいね」

星学文エンジニアのコメント

「ウォームアップ走行でレース用タイヤの確認をしたのですが、路面温度が高くなってしまったのでパフォーマンス不足を感じていました。グリッドで最終調整してスタートしました。最初のスティントを担当した伊沢選手からはパフォーマンスの向上が感じられたと言われたので調整内容が良かったと思っています。野尻選手も終盤、トップに立てそうな勢いがありましたが、SCやイエローで抜くに至りませんでしたが、良い走りが出来たと思います。こんなに重たい状態で結果が出ましたし、残りのレースでもチャンピオンを狙えるポジションにいるので次も確実にポイントを重ねていきたいです」

野尻智紀選手のコメント

「2位というのはチャンピオンシップを考えると非常に良い順位だったと思います。ただ、レースで抜けなかった悔しさはありますが、難しいレースでまとめる事が出来たのは良かったです。またタイヤテストから車も大きく進歩しましたし、それらはボクもチームも自信になったので、残り2戦はしっかり戦って行きたいと思います」

伊沢拓也選手のコメント

「昨日の予選から良いポジションでレースが出来ましたし、シリーズ考えてもここでの2位は大きいと思うので、残りの2戦は気を引き締めて戦いたいと思います」

重いマシンで11位までポジションアップ、残り2戦に闘志

ハンディキャップウェイトが100kgもあるので、チームは1点でもポイントを獲得出来るようにタイヤマネジメントと戦略でポジションを上げて行くことを考えていた。

スタートはショーン・ウォーキンショー。真夏を思わせるような気温でタイヤの摩耗が心配されたが、予想よりパフォーマンスは高く、改めてブリヂストンタイヤの性能の高さを感じたレースだった。

ショーンはポジションをキープしながら、様子をうかがっていた。ペースはトップグループと遜色無かったが、狭いコースでのポジションアップはなかなか難しかった。20周を過ぎたあたりからルーティンのピットインを行うチームが出始め、順位を2つ上げた。そして24周目にルーティンのピットインを行い、高木真一に交代。

高木は22番手でコースに復帰し、徐々にポジションを上げていった。47周目には17番手までポジションを上げてきたが、徐々にグリップが落ち始めてきた。高木はタイヤを労る走りに切り替え、何とか最後までペースを落とさずに走りきれるように走行を続けた。

ライバルチームも苦戦を強いられていたようで、トラブルでピットインする車も出始めた。高木はトラブルに巻き込まれる事無く59周目までに16番手までポジションを上げる事に成功していた。

しかし、61周目に他車がコースアウトし、セーフティーカーが入ってしまう。高木は車のコンディションを保ちながら、リスタートを待った。74周目にリスタートが切られたが、他車のペナルティや脱落もあり、12番手でレースを続けた。ポイント圏内まであと少しだったが、76周でチェッカーが振られ、11位でレースを終えた。

我々を含めチャンピオンシップを争う上位の数チームがノーポイントだったため、ランキングトップをキープしたが、残り2戦は気の抜けない激しい戦いになるだろうが勝ち抜いて行きたい。


尚、その後の公式通知で、87号車が決勝結果に37秒加算 (SpR.13 1.a「危険なドライブ行為」)されたため、55号車は10位に繰り上げとなり、1ポイントを獲得することができた。


土屋圭市アドバイザーのコメント

「今回はポイントを獲得出来なかったけど、ランキングトップでオートポリスに行けるのは本当に驚きだね。流れは我々に向いているので、この流れを引き寄せられるように気を引き締めて残りのレースを戦いたいね」

安藤博之エンジニアのコメント

「予選のセットからアジャストして、ウォームアップを走りレースに挑みました。23番手スタートから11位でフィニッシュ出来たのは他車の脱落もありましたが、ペースも良かったので車の仕上がりは良かったと思っています。予選が後方でなければポイントを獲得出来た可能性もあったので、今後はその辺りが課題になると思います」

高木真一選手のコメント

「100kg積んだ中で、車やタイヤは苦しかったけど、それに耐えてくれて本当に良かった。10位から5位を走ってるチームとはそれほど大きくペースも変わらなかったと思うし、23番手という予選順位からよく11位まで車を持ってこられたと思います。多分、ベストの車だったんじゃないかな、と思っています。結果的にはポイントを獲れなかったのは残念でしたが、ランキング上位のライバルチームがポイントを獲得出来なかったので、残り2戦はチーム一丸となって、しっかり戦っていきたいです。オートポリスではポイントを獲得して、ポイントリーダーでもてぎへ行きたいですね」

ショーン・ウォーキンショー選手のコメント

「タフなレースでオーバーテイクするのが難しかったけど、100kgというウェイトを積んでいる中で、何台かパスする事ができたのは非常に良かったと思います。タイヤの摩耗もそんなに悪くなくて、コンスタントに良いラップを重ねられました。ポイントは獲得出来ませんでしたが、23番手から11位までポジションを上げる事が出来たのは大きな収穫でした」