前回の鈴鹿の予選では、ポールを狙いにいき、勢い余って4輪脱輪してしまったが、そのリベンジを果たすべく、チームはこのスポーツランドSUGOに乗り込んだ。
午前のセッションはなかなか良いフィーリングを得られなかったが、セッション終盤でバランスが向上し、予選への準備が整った。
Q1は野尻智紀選手が担当。野尻選手はトップと0.3秒差で6番手のタイム。ここ菅生はトップから最後尾までの予選タイムが1秒以内になる事が多く、ミスが許されないサーキットだ。何とかQ2の大湯都史樹選手につなぐ事が出来た。
大湯選手は前回の鈴鹿の予選でポールが獲れそうな感触でアタックをしていたが、勢い余って4輪脱輪してしまい、悔しい予選をしていた。今回はそのリベンジのような予選だ。
Q2の残り時間7分半ほどでコースイン。しっかりとタイヤを暖め、アタックに入って行った。ライバル達はコースレコードを更新し、大湯選手がどのポジションに来るか心配だったが、セクタータイムを削ってきて、見事にトップに躍り出た。そのままQ2は終了し、今季初のポールポジションを獲得。大湯選手としては初のポールポジションとなった。
「前半はミスもあったけど、ここに来てようやく歯車が合い始めたね。ここから終盤戦に向けて大活躍してもらいたいね。出来ると思う。明日は勝ちたい」
「午前中はちょっとスピードが足りないと思っていましたが、セッション最後で何とかバランスをとる事が出来たので、予選に期待していました。野尻がQ1を突破してくれて、大湯がQ2でポールを獲得してくれて本当に良かったです。明日は、このままポールトゥウィンを目指して行くしかないですね」
「大湯選手が前回のミスをこうやってリカバリーしてくれて、ポールに辿り着けたので、明日は何とかいつも以上に良いレースをしたいと思います。しっかりと自分のベストを出し切ります」
「ホッとしました。これまでのレースが、特に前回不甲斐ないレースをしてしまいましたし、自分との闘いを常にしてきた今シーズンでしたが、ようやくここでポールを獲れたのはひとつの大きな一歩として流れを掴めましたし、自分でも自信につながった予選だったと思います。明日ポールからスタート出来るのは、この菅生ではとてもポジティブな事なので、この順位を守り切って明日こそはポールトゥウィンを獲れるように頑張ります」
前回の鈴鹿で優勝した#16 ARTA MUGEN NSX-GTは、サクセスウェイトが74kgで苦戦するかに見えたが、午前のフリー走行ではバランスも良く、好タイムを出していた。予選に向けて雰囲気は良い。
朝から曇り空だったが、徐々に暗くなりはじめGT300の予選前に雨が降り始めた。予選は完全ウェットコンディションになると思われたが、GT500クラスの予選前には雨は止み、開始時間にはほぼドライコンディションでQ1が始まった。
Q1を担当したのは福住仁嶺選手。予選前の雨でだいぶ路面コンディションが変わっていたのを感じていた福住選手は、何とか合わせながらアタックを開始したが、13番手に留まり、Q2に進む事は出来なかった。
しかしながら、決勝のセットについてはポジティブな面が多いので、明日は少しでも多くポイントを獲得したい。
「午前のセッションが良かったので、期待していたけど甘く無かったね。でも、ポジティブな部分も見えているので、明日の決勝はそれほど悪く無いと思っている。トラブルに巻き込まれないように戦って、ポイントを獲得したいね」
「ウェイトも重くなっているので、難しいね。しかし、菅生は何があるか分からないので、チャンピオンシップ争いをしているライバル達よりも前でチェッカーを受けて、ポイントを獲得したいね」
「午前中は調子が良かったのですが、コンディション変化で周りの状況を測り切れませんでした。もう少し良いポジションが欲しかったです。13番手スタートですが、菅生は荒れる事が多いので、うまく切り抜けてライバルよりポイントを獲れるように頑張ります」
「フリー走行の感触は悪くありませんでしたが、予選は朝とフィーリングが変わってしまったのと、ドライビングに関しては上手くまとめる事が出来たものの、まだ伸びしろがありそうなところがいくつかあるので、悔しい予選になってしまいました。明日は後方からのスタートですが、菅生はいつも最後まで何があるか分かりませんし、後ろにいるからこそ得られるチャンスもあると思いますので、気持ちを切り替えて少しでも多くポイントを獲れるように頑張ります」
「フリー走行は調子が良くて、予選に対しても手応えがあったのですが、直前の雨でコンディションが変わってしまい、そのためうまく進まなかったかなと思います。状況的には厳しいですが、自分達が出来る事をしっかりやって明日のレースに備えたいです」
今日の天気は雨が降らない予報だが、スタート前から雲行きが怪しくなってきた。チームはどんなコンディションになっても対応出来るように作戦を組んでスタートを待った。
スタートドライバーは野尻智紀選手。クリーンスタートでトップをキープしながら周回を重ねた。車のコンディションは好調で、12周目には2番手とのギャップを10秒に広げる。28周を過ぎたあたりからルーティンのピットインを行うチームが出始めた。野尻選手は32周目にルーティンのピットインを行い、大湯都史樹選手に交代。6番手でコースに復帰。
実質トップの車とテールトゥノーズで順位を争っていたが、300車両に行く手を阻まれ、ギャップが広がってしまう。
38周目に500クラスの車両が最終コーナーでクラッシュし、セーフティーカーが導入される。車両回収の為、39周目にレースは赤旗で中断される。この時点で見た目の順位は4番手。実際は2番手のポジション。
約1時間の中断後、セーフティーカー先導で45周目にリスタート。46周目の順位は3番手。53周目の1コーナーで1台抜き、トップの車両がルーティンのピットインを行ったので、大湯選手はここでトップに返り咲く。
その後、2番手との差が開いたが、300クラスのトラフィックで2番手の車両が背後まで迫ってきた。数周に渡りデッドヒートを繰り広げたが、また300クラス車両に行く手を阻まれ、77周目のストレートで2番手にドロップしてしまう。3番手の車両も背後まで迫ってきたが、何とか2番手を死守し、久しぶりの表彰台獲得となった。
しかし、レース後に優勝した車両が車検で失格になってしまい、繰り上がり優勝となった。
「複雑な気持ちだね。優勝という結果は嬉しいけど、レースには負けたからね。でも素直に優勝を喜びたいと思います」
「結果は勝ちだけど、レースには負けていたし、修正しなければいけないところもあるので、喜びもあるけど、次もしっかり戦えるように準備したいね」
「トップの車が車検で失格になってしまい繰り上がり優勝という事になりましたが、レースには負けていたので、負けた部分はきちんと考察して次回に生かしたいと思います。しかしながら、優勝は素直に喜びたいと思います」
「後からこのような結果になり、びっくりしています。結果は嬉しいですが、課題も見えたので、しっかり修正しながら、次のレースはしっかり勝てるように準備をしていきたいと思います」
「レース終了後は、勝てそうなレースを落として落胆していましたが、後から結果が変わって正直驚いています。優勝は嬉しいですが、レースでは最後抜かれてしまって、その悔しさは残っているので、次のレースはしっかり勝ちたいです」
スタートドライバーは福住仁嶺選手。パレードラップ、フォーメーションラップの後にスタートが切られた。
スタート直後、福住選手はエンジンの不調を訴えてきて、順位も最後尾まで落ちてしまう。ペースが上がらず、5周目に緊急ピットイン。車両をチェックして、コースへ復帰。ここで周回遅れになってしまったが、チームは作戦を変更して、入賞を目指した。
コース復帰直後はペースが良かったが、300クラスの集団に入ってしまい、なかなかペースが上げられなかったが、集団を抜けた後はペースを取り戻した。
38周目に500クラス車両が最終コーナーでクラッシュし、セーフティーカーが導入される。車両回収の為、39周目にレースは赤旗で中断されてしまう。この時点での順位は13番手。
約1時間の中断後、セーフティーカー先導で44周目にリスタート。福住選手はリスタートと同時にピットイン。
大津弘樹選手に交代し、後半を託した。大津選手はトップグループと遜色ないペースで周回を重ね、前を追った。
ペースは良かったが、13番手で順位を上げる事は出来なかった。入賞はならなかったが、次につながるレースを展開した。レース終了後にトップの車両が失格になり、結果は12位となった。
「序盤のトラブルが残念だったね。前回のレースで歯車が合い始めたと思っていたけど、まだまだだね。ミスやトラブルを無くしていけばトップで戦える力があるので、残りの2レースは立て直せるように頑張ります」
「トラブルは痛かったな。ヒューマンエラー的な部分があるので、次回までにしっかり立て直したいね」
「スタート直後からエンジン系統のトラブルでピットに入れざるを得ませんでした。それが致命的になり、みんなでポイントを獲ろうと頑張っていただけに残念でした。ドライバーも良いパフォーマンスで走れていたので、申し訳ないです。しかし、気持ちを切り替えて次、頑張ります」
「早々にトラブルでピットインを余儀なくされて、その後はラップダウンになってしまいました。自分のスティントのペースだけで言うと、そんなに悪くなかったですし、ちゃんとレースが出来ていれば、いろんなチャンスが巡ってきてもっともっとポイントを獲れたと思います。もったいないレースになってしまいました。悔しいというよりこれ以上続けられないというのがあります。次回は軽くなりますし、次回にこの経験を活かして頑張りたいと思います」
「スタート直後のトラブルが全てでしたね。仁嶺のペースは良かったし、普通にレースしていればポイント圏内に入れた手応えがあったので、残念です。今年に入ってミスが続いていて、前回勝てたので良い流れが来たのかな、と思いました。しかし、勝ったからと言って油断じゃないですけど、良くしてくれようとした事がうまく行かなかったので、そういうところをもう一度見直して次はもう落とせないので、チーム一丸となって頑張れるようにしたいです」
鈴木亜久里監督のコメント
「速さは最初からあったし、いつかポールは獲れると思っていたけど、なかなか獲れなかったので、そろそろ獲らないとマズいな、と思っていました。ようやく結果が出てホッとしているけど、大切なのは明日。菅生は荒れるレースなので、トラブルに巻き込まれないようにしっかり最後まで走って優勝目指します」