レポート Report

4位でQ1抜けるもQ2で原因不明のトラブルで8位

ついに迎えた最終戦。GT500クラスの車両は3年に一度シャーシがリニューアルされるが、今年はその3年目。今回のレースでNSX-GTはミッドシップレイアウトで走る最後のレースとなる。昨年の最終戦は、ここもてぎで優勝しているので、ARTA NSX-GTはミッドシップ最後の勝者として結果を出したい。

午前のセッションは予選と決勝のシミュレーションを行いながらセットを確かめた。車のバランスは良さそうで、順位は5位とまずまずのポジションで終えた。

Q1は野尻智紀選手。天候は秋晴れで気温は少し暖かめだ。タイヤの選択が難しかったが、野尻は前後の車両の間隔をピットに無線で確認しながらアタックに入った。午前のタイムを上回り、4位でQ1突破を決めた。

車の状態は良さそうだ。Q2は伊沢拓也選手。しかし、伊沢はコースインするとすぐに車の不調を無線で訴えてきて、タイムアタックを行う事が出来ず車をコース脇に止めた。

原因は現在究明中だが、不本意なQ2となってしまった。しかし、明日は4列目からのスタートなので、ポジション的にはそれほど悪くない。決勝のセットも良さそうなので、明日は優勝を目指してレースに挑みたい。


鈴木亜久里監督のコメント

「車の状態が良かっただけに残念な予選になってしまった。期待してくださったファンの方々や応援してくださっている関係者には申し訳無く思っていますが、明日挽回出来るように頑張ります」

星学文エンジニアのコメント

「10月にここでタイヤテストを実施していたので、走り出しからバランスは悪くなかったですが、ニッサン、トヨタ勢が速かったので、差を縮められるように微調整して予選に挑みました。Q1では午前より乗りやすくなっているようなので、ポジションも良かったと思います。Q2は原因不明のトラブルが生じてしまい、アタックを行う事が出来ませんでした。しかし、流れ的には非常に良いので明日は良い結果を出せるように準備したいと思います」

野尻智紀選手のコメント

「Q1では自分の力を出し切れたかな、と思うところもありますが、Q2で止まってしまったので非常に残念です。伊沢さんにも思いっ切りアタックして欲しかったですし、感触としては上位に行けたのでは無いかと思っています。しかし、車のバランスは良いのでチームとミーティングして、明日良い結果で終えられるように準備したいです」

伊沢拓也選手のコメント

「朝から良い流れで予選を迎えられ、Q1も野尻が良い結果で僕につないでくれたと思います。Q2はミッドシップとして最後の予選なので僕自身も思いを込めてアタックしようと思っていたのですが、トラブルが出てしまい残念でした。明日は良いレースが出来ると思いますので、今年の集大成となるようなレースをしたいと思います」

Q1でひやりとするが福住がQ2でまとめて5位

前回の第7戦でARTA NSX GT3は今季初優勝を挙げて、2位と14.5ポイント差をつけてランキングトップのまま最終戦を迎えた。非常に有利な状況ではあるが、昨年は12ポイント差を逆転されてしまい、涙を飲んだ経験があるので最後まで気を抜く事は出来ない。

10月にこの茂木でテストを行ったが、その時のデータを元に午前の走行を走り始めた。車のバランスは非常に良く、1位で午前のセッションを終えた。

Q1の担当は高木真一選手。2周のアタックを想定してタイヤを暖めていた。1周目にタイムを出し、更にタイムを縮める為にアタックを行ったが、高木はここで後輪を脱輪させてしまうというミスを犯してしまう。大きなロスがあったにも関わらず、高木は何とかQ1突破を成功させた。

Q2を担当した福住仁嶺選手は、高木からQ1の状態を聞きながらアタックに入っていった。福住はミスなくアタック出来たものの、最終的には5位で予選を終えた。

予選を終えた福住は悔しがっていたが、チャンピオンシップを争っているライバルチーム達は予選を上手く戦えなかったようだ。明日はライバルチームの動きを見ながらの戦いとなるが、トラブルに巻き込まれないように気を引き締めて戦い抜きたい。


土屋圭市アドバイザーのコメント

「チャンピオンを争っているチームが予選で不調に終わったので、流れは良いと思うね。この流れを維持していければ我々が望んでいる結果が出せるんじゃないかな」

一瀬俊浩エンジニアのコメント

「持ち込みのセットは事前のテストで良さそうなセットが見つかったのでそれを基準に走り出しました。序盤は路面温度が低い時はパフォーマンスも良くてタイムも良かったので、予選に向けて良くなるだろうと思われるセットをいくつか試してみました。いくつか良い内容があったので、それを予選に盛り込んでみました。予選では明日のレースでの路面温度を想定したタイヤ選択を行いましたが、今日の予選のコンディションに合うかは分かりませんでした。しかし、ポジションが5位だったので、明日に向けて良い出発点になったと思います」

高木真一選手のコメント

「朝の車のバランスを考えると余裕でQ1を突破出来ると思っていましたが、自分も少し油断していたのか、アタックの時に攻めすぎて後輪を脱輪させてしまいました。それで0.5秒ほどロスしてしまい、チームの皆んなをドキドキさせてしまったのは申し訳無いと思っています。車は良い状態でしたので、仁嶺がそのままQ2で良くまとめてくれて素晴らしいタイムを出してくれたと思います。チャンピオンシップを争っているチームはあまり良いポジションではなかったので、明日は周りを見ながらレースを展開出来ると思うので、落ち着いて戦っていきたいと思います」

福住仁嶺選手のコメント

「今回もQ2を担当させて頂きました。高木さんがギリギリではありますが、Q1を突破してくれたのでホッとした気持ちでQ2に気持ちを向けました。僕自身のアタックは満足がいける内容ではあったのですが、あと少しトップスリーには敵わなくて、結果的に5番手でした。自分としては心からポールポジションを狙っていたので、悔しい気持ちがありますが、チャンピオンシップを争っているチームも予選を上手く戦えなかったようなので、そう考えると今日の予選はポジティブなものだったと思っています。明日は何が起こるか分からないので、チーム一丸となって気を引き締めて結果を出したいです」

チーム一丸となった走りで表彰台も見えたが、トラブルで結果残せず

レース前のウォームアップ走行で決勝のセット確認を行った。バランスは非常に良く、レースで上位を狙える手応えをチームは得ていた。

スタートドライバーは伊沢拓也選手。伊沢は8番手からクリーンスタートを切って53周のレースをスタートした。車のバランスは良さそうで2周目にはひとつポジションを上げていた。トップグループを遜色ないタイムで周回を重ねるが、他のチームもペースは良く接戦でレースは展開していった。19周目から他チームのルーティンのピットインが始まり、伊沢も20周目にピットに入り野尻智紀選手に交代した。

野尻は順位を落とす事なく、7番手でコースに復帰。他のチームのピットインの合間に野尻は順位を上げ、25周目には4番手を走行していた。その後の野尻のペースは良くて、次第にトップグループに追いついていった。300クラスの周回遅れもあり、2位争いの背後まで迫り、表彰台の可能性も見えてきた。

しかし、39周目に野尻は無線で不調を訴えてきた。シフトシステムのトラブルだった。何とかピットまで辿りつき、修理を行った。この時点でもうポイント圏内を狙う事は不可能だったが、タイヤを履き替え、伊沢にドライバーを交代し、最後まで走り切った。トップを狙えそうなペースだったので非常に悔しい結果となってしまったが、チーム、ドライバーの力量を証明出来るレースだった。


鈴木亜久里監督のコメント

「8番手からのスタートだったけど、ピット作業もノーミスでトップ争いのところまできて、ドライバーは2人とも良い仕事をしてくれたのに、メカニカルトラブルで2人の足を引っ張ってしまって残念な思いをさせてしまった。300クラスは2人ともメカニック達も良い仕事をしてくれたし、K-TuneやLEONも良いライバルとしていいレースが出来たのは良かった。どこがチャンピオンになってもおかしくなかったので、その中でチャンピオンを獲れたのは良かったと思っています。今年も1年間ご支援、ご声援下さったファンの皆さま、協賛企業の皆さまに厚く御礼申し上げます。来年もどうぞ宜しくお願いします」

星学文エンジニアのコメント

「ウォームアップのペースもレースペースも2人とも良かったですし、戦略も上手くいったのでトラブルが無ければ少なくとも4位でフィニッシュ出来ると考えると悔しいですね。MRの車では上手く戦えていましたが、来年は車もFRに変わるのでMRと同じようにパフォーマンスを良く戦えるように頑張ります」

野尻智紀選手のコメント

「今年最後のレースということで自分が持てる力を100%発揮してその中で最後表彰台が見えるところを走っていたので表彰台を勝ち取りたかったですけど、今回のトラブルは仕方ない部分もあるので、誰かを責めるというわけではなく、今シーズンの締めくくりとして表彰台に立ちたかったです。今シーズンは昨シーズンほどインパクトを残すような結果を残せませんでしたが、どんな時でも応援して下さった全ての皆さまからのご声援が力になりました。今年の内容は決して悪いものではなかったので、良い流れを来年につなげて行きたいと思います」

伊沢拓也選手のコメント

「車に速さがあって、第1スティントも第2スティントも速く走れていましたし、戦略も良かったので、あのまま走れていれば良い結果を得られたと思っています。トラブルに見舞われたのは残念です。トラブルが起こるまでは非常に良いレースをお見せする事が出来たと思うので、それは良かったと思っています。今年も応援して下さったファンの皆さま、ご支援下さった協賛企業の皆さまには感謝します。今年も1年ありがとうございました」

全戦でポイント獲得で、見事にシリーズ・チャンピオン獲得!

チャンピオンシップをリードしているチームとして、ドライバーは朝から取材やトークショーに引っ張りだこで、あっという間にスタートを迎えた。

スタートは高木真一選手。高木はスタートでポジションをひとつ上げて、4番手でストレートに戻ってきた。非常に速いペースで周回を重ね、8周目には3番手までポジションを上げた。非常に順調に周回を重ねていたが、途中、コースアウトする車両やトラブルで止まってしまう車両もあり、いつセーフティーカーが入るか判断が難しい状況だった。しかし、セーフティーカーが入ることもなく、レースは進んでいった。

当初、チームはタイヤを2輪交換して後半を戦う予定だったが、高木は無線で4輪交換を訴えていた。チームは急遽作戦を変更し、17周目のピットインで4輪交換を行い、福住仁嶺選手を送り出した。

他車のルーティンのピットインもあったが、タイミングも良く、福住は25周目までに4番手まで順位を回復した。福住のペースは良く、31周目には3番手までポジションを回復。しかし、このあたりからオーバーステアの症状が出てしまい、ペースが上がりづらくなってきた。チャンピオンシップを争う、#96が背後まで迫ってきたが、我々は4位以上に入賞できれば#96が優勝してもチャンピオンを獲得出来る。

福住は無理をせず、#96を前に行かせて、最後まで集中力を切らさず4位でチェッカーを受け、見事2019年のGT300クラスシリーズチャンピオンを獲得した。ARTAと高木にとっては2002年以来、2回目のGT300クラスチャンピオンで、福住はルーキーイヤーにチャンピオンを獲得する事になった。


土屋圭市アドバイザーのコメント

「K-tuneやLEONにこのレースで負けてしまったのは悔しいね。でも全戦でポイントを獲得して、昨年の屈辱を晴らす事が出来て本当に良かった。今年もご支援下さった皆さまには感謝します。ありがとうございました」

一瀬俊浩エンジニアのコメント

「ウォームアップは予選で悪かった部分を微調整して決勝に挑みました。最初は左側のタイヤ2輪交換の作戦を考えていましたが、意外にもタイヤの摩耗が早かったので、4輪交換に作戦変更しました。我々より先にライバルのK-Tuneが先にルーティンのピットインを行い、その時に彼らも4輪交換していたので、我々も同じ戦略を取る事が出来ました。第2スティントの序盤はペースが良かったのですが、終盤はピックアップが原因なのか分かりませんが、オーバーステアの症状が出てきてしまってペースを上げる事が出来ませんでした。あと少しで表彰台を狙えたので車が戻ってきたらもう一度解析してみたいと思いますが、シリーズチャンピオンを獲れたのは良かったと思います」

高木真一選手のコメント

「セットアップの面で後半、仁嶺に辛い思いをさせてしまったんですけど、その中でも年間通して全戦でポイントを獲れたのが大きかったと思います。これもチームとご支援下さった皆さまのお陰です。本当にありがとうございました」

福住仁嶺選手のコメント

「僕のスティントの後半はピックアップがすごくて、思うようにペースが上げられなくて苦しかったのですが、後ろから96号車が迫ってきていましたが、ポイント的にも前に行かせても大丈夫とのことだったので無理をせず周りの事を考えて、自分がレースを落とさない、ミスをしないように最後まで集中して走りました。チャンピオンを獲れて本当に良かったです。亜久里さんを始め、チームのみんな、ご支援してくれた皆さまに本当に感謝したいです。ありがとうございました」