レポート Report

PP獲得も油断せず有終の美を飾りたい

ARTA NSX-GTは第7戦終了時点で、50ポイントを獲得し、トップとは17ポイント差だ。わずかにチャンピオンを獲得する可能性は残っているものの、優勝する事が最低条件だ。さらに我々よりランキングが上位の手強いライバル達の獲得ポイントが3ポイント以下でなければならない。チームはチャンピオンの事は考えず、優勝する事だけを考えてこの地に乗り込んだ。

10月に行った公式テストのデータを元にフリー走行が始まった。走り出しの天候は晴れていたものの、前夜の雨や濃霧によって路面はウェットコンディションだった。ラインが乾くまでに時間がかかりコンディションの回復を待った。

セッション終盤はほぼドライコンディションになったのでバランスの確認を行ったが、タイムは伸び悩んだ。サーキットサファリの走行も使い、予選に向けて調整を進めていった。

Q1を走行するのは伊沢拓也。午前のセッションからセットを変更してのアタックだ。伊沢は「予選でこんなに緊張した事は過去に無い」、というほど気を張り詰めていた。

伊沢は前後の車間を十分に空けてからタイムアタックに入り、見事3番手のタイムを叩き出してQ2進出を決めた。

伊沢はQ1のフィーリングをチームに伝え車の微調整をチームに要求し、野尻智紀にQ2を託した。

伊沢が要求した微調整が見事にハマり、野尻は今季3回目になるポールポジションを決め貴重な1ポイントを獲得した。これでランキングトップと16ポイント差になった。

明日は有利なポールポジションからのスタートではあるが、ポジションをキープ出来るように有終の美を飾りたい。


鈴木亜久里監督のコメント

「見事な予選だったね。しかし、ポールを獲ったオートポリスでレースを落としているから、気を引き締めて準備をしたいね。明日は勝つ事だけ考えてレースをします!」

星学文エンジニアのコメント

「持ち込みから想定内のバランスだったもの、調整が必要な状態でした。その調整が予選に向けて良い方向へ行ったのと、Q1が終わった後の伊沢選手のコメントが的確だったので、Q2でも良い結果を出す事が出来ました。前回のオートポリスでもポールポジションを獲りましたが、レースが上手く行かなかったので、明日は勝負強い車に仕上げたいと思います」

野尻智紀選手のコメント

「午前のフリー走行の感触からすると苦労するかな?と思ったのですが、伊沢選手が良い方向に車を仕上げてくれて、ボクが乗った時は凄く良いバランスの車になっていました。伊沢選手とチームが良い車に仕上げてくれて、ボクが結果につなげる事が出来たので今日はひとまず良かったです。明日はオートポリスのリベンジをするつもりで良いレースをして1年を締め括りたいです」

伊沢拓也選手のコメント

「午前のフリー走行は決して良い状態では無かったのですが、予選までに何とか修正してQ1を突破する事が出来ました。最後、野尻選手が素晴らしいアタックをしてくれて良い位置からスタート出来るので、結果につなげたいです」

10番手と難しいポジションだがいいレースをしてチャンピオンを勝ち取りたい

第2戦、第5戦のロングディスタンスの2レースを制して大量ポイントを獲得したARTA BMW M6 GT3は、2位に12ポイント差をつけてランキングトップで最終戦を迎える事になった。

12ポイント差が大きいのか小さいのかというと、我々はわずかな差と感じている。このレースをノーポイントで終え、ライバル達が表彰台に乗ってしまえば簡単に逆転されてしまうからだ。油断をすればチャンピオンは遠のいてしまう。

午前のセッションは前夜の雨や霧でコンディションが安定するまで時間がかかり、バランスの確認がなかなか出来なかったが、路面が乾くまで時間を有効に使うために、ドライバー交代の練習を行った。

1コンディションが回復してから予選のセットを進めたが、思うようにタイムが上がらず、サーキットサファリの時間も使って予選のセットを進めていった。何とか車のセットの改善は見られたが、不安を残したまま予選が始まった。

1Q1は高木真一。高木はとにかくQ1を確実に突破する事だけを考えてアタックに入っていった。しかし、高木は素晴らしいタイムを叩き出し2番手でQ1を突破した。

Q2はショーン・ウォーキンショー。ショーンはタイミングを取りながらアタックに入っていった。決して悪いタイムでは無かったが、速いドライバーが多い中で10番手のタイムを叩き出した。

明日は、5列目からのスタートとなるが、チャンピオンを獲得出来るように十分に準備をして挑みたい。


土屋圭市アドバイザーのコメント

「決して良いポジションからのスタートでは無いけど、オートポリスではもっと後方から4位に入れたので、同じようなレース展開が出来るように戦略を組んでいきたいね」

安藤博之エンジニアのコメント

「午前のセッションは濡れていたので、バランスチェックやドライバー交代の練習に充てました。乾いてからはQ1へ向けてのセットとタイヤの確認を行いました。コンディションに車が合っていないところがあったので、サファリでユーズドタイヤを履いてセットの変更を行いました。改善が見られたのでQ1では2番手で通過出来ました。Q2は10番手で終える事が出来ました。明日はレースペースは悪くないと思うので、チャンピオンが獲れるポジションまで順位を上げて行けるように頑張ります」

高木真一選手のコメント

「まずはQ1突破が目標でしたが、思ったよりフィーリングは良くて、2番手で通過する事が出来ました。Q2は速いドライバーが多い中でショーンは頑張ってくれました。10番手スタートではありますが、そこから少しずつ順位を上げられるようなレースが出来れば、チャンピオンを獲得出来る可能性が高まると思いますので、しっかりと戦っていきたいです」

ショーン・ウォーキンショー選手のコメント

「素晴らしい予選とは言えず、上手くいけば7番手くらいのポジションを得る事が出来たと思うが、レースペースもタイヤのコンディションも良いので、4位以内には入りたいと思っています」

最終戦優勝! 来年こそチャンピオンを

2018年 SUPER GT の最終戦は#8 ARTA NSX-GTが今季2度目のポールトゥウインを達成してシリーズを締めくくった。

決勝前のウォームアップランでは決勝のセット確認を行い、スタートドライバーの伊沢拓也を送り出した。伊沢は序盤から後続を引き離し、安定したラップで周回を重ねた。

チームはルーティンのピットインをちょうど中盤あたりで行う戦略を計画していたが、周回遅れの車両が多く出てくる事を想定すると早めにピットインさせた方がクリアラップを取れると判断し、早めに伊沢を入れる作戦に変更した。

伊沢は19周目にピットイン。野尻智紀に後半のスティントを任せた。車のコンディションは好調だ。全ての車両がルーティンのピットインを終えた30周目頃に野尻はトップに返り咲いた。終盤は他車に背後まで迫られる事もあったが、危なげない走りで今季最後のレースを優勝で飾った。

今季は3度のポールポジションと2回の優勝で速さと強さを証明出来た年だったが、シリーズ3位でチャンピオンを獲得するまでには至らなかった。来季のチャンピオン獲得に向けて、また明日から準備を進めていきたい。

今年もチームを応援してくださったファンの皆様、スポンサー各社には深く御礼申し上げます。ありがとうございました。来季もARTAを宜しくお願いします。


鈴木亜久里監督のコメント

「チャンピオンを獲れなかったのは悔しいけど、今年最後のレースに勝てたのは気持ちがいいね。トップを譲る事もなく、強さを証明出来たレースだったと思う。来年はチャンピオンを獲得出来るように頑張ります。今年もありがとうございました」

星学文エンジニアのコメント

「前回のオートポリスではポールを獲得したのに、レースでは上手く行かなかったので、非常に慎重になりました。セットを見直して、大きく変更した事が良い方向に行きました。ダウンフォースの少ないこのコースで勝てたという事は、ホンダさんが本当に良いクルマを開発してくれたおかげだと思っています。また、来年に向けて良いレースが出来るように準備していきたいと思います。ありがとうございました」

野尻智紀選手のコメント

「伊沢選手から代わってから、最初からペースを最大限にあげていかないといけないのは分かっていたので、タイヤを目一杯酷使して速く走りました。後続と少しギャップが築けてから、ペースをコントロールする事が出来ました。最後までタイヤマネジメントも上手く出来ましたし、車のバランスやコンディションも非常に良かったです。終盤追いつかれる場面もありましたが、自信を持って走る事が出来ました。これも良い車を作ってくれたチームとホンダさん、そしてブリヂストンさんに感謝したいです。優勝出来たけど、チャンピオンを獲得出来なかったこの悔しい気持ちを忘れずに、来季に向けて今日から準備していきたいです。1年間ありがとうございました」

伊沢拓也選手のコメント

「スタートから後続を引き離して、野尻選手につなぐ事が出来ました。ボクのスティントが予定より短くなってしまったのは戦略が変更になったからなのですが、それが功を奏してレースに勝つことが出来ました。チャンピオンを獲れなかったのは悔しいですが、自分たちがこの1年積み上げてきた事を出せて最後に勝つことが出来たのはとても嬉しいです。チャンピオンを獲れなかった悔しさは来年にぶつけたいと思います。1年間ありがとうございました」

予選が全て、チャンピオンを逃す

抜くことが難しいこのコースでどのくらい順位を上げる事が出来るかが、このレースの課題だ。チームは何パターンかの戦略を考え、スタートドライバーの高木真一を送り出した。

高木はクリーンなスタートを切り、良いペースで周回を重ねた。13周目までにポジションを2つ上げ、8番手を走行していた。4位以内に入れれば、他のチームの順位に関係なくチャンピオンを獲得する事が出来る。

しかし、ライバル達は徐々に順位を上げていった。ARTA BMW M6 GT3のバランスやペースは悪く無かったが、ラップダウンの車に引っかかってしまい、前車とのギャップが広がってしまう事があり、タイヤ無交換の戦略を取らざるを得なかった。33周目にピットインしてショーン・ウォーキンショーに交代。高木は交代前に無線でタイヤの状態と使い方をチームに伝え、それをショーンに伝えるように指示した。

ショーンは7番手でコースに復帰。タイヤは暖まっているので、後続車からは抜かれずに速いペースで周回を重ねたが、アウトラップで他車に寄せられて接触してしまう。この接触で右側のバックミラーを落としてしまう。後続車の確認が困難になってしまったが、ショーンは上手くレースを戦っていた。しかし、無交換のタイヤは徐々にコントロールが難しくなり始め、ペースを保つ事が難しかった。最終的には9位でゴールし、2ポイントを獲得したものの、ライバルがそれを上回るポイントを獲得してしまい、惜しくもチャンピオンを逃してしまった。

昨年はシリーズ4位だったが、今年は2位にランキングされ、徐々に進化が見られる1年だった。来季こそチャンピオンを獲得出来るように戦っていきたい。今年1年ありがとうございました。


土屋圭市アドバイザーのコメント

「昨日の予選が全てだったね。抜くのが難しいこのコースはやはり予選が重要。チャンピオンを獲得出来なかったのは非常に残念だったけど、チームもドライバーも良く戦ってくれたね。応援してくださった皆様、ありがとうございました。来年も宜しくお願いします」

安藤博之エンジニアのコメント

「スタートポジションが10番手なのでレースではペースが上がるようにピットストップでも順位を上げられるように、ウォームアップからセットアップとタイヤマネジメントを考えていました。高木さんのスティントではクリアラップを取れる時にペースを上げてポジションを上げられるようにしたのですが、遅い車に引っかかってしまって自分達のレースが出来ませんでした。自力チャンピオンを獲れるところまでポジションを上げる事が難しそうだったので、タイヤ無交換の戦略を取りました。後半はタイヤがやはり厳しく、ペースを保つ事が困難で順位を落としてしまいました。終わってみて、昨日の予選を上手く戦えなかったのが大きかったです。昨年はシリーズ4位で今年はランキングが上がったのですが、チャンスを生かす事が出来なかったので、来季の課題として取り組みたいと思います。今年もありがとうございました」

高木真一選手のコメント

「ミスなく精一杯戦えたレースでした。1年間戦って、このレースだけでチャンピオンが獲れなかった訳ではないので、ひとつひとつの積み重ねが重要である事を改めて感じました。第7戦まで頑張ってランキングトップで最終戦を迎える事が出来たのですが、このもてぎは抜くのが難しいコースなので、10番手からの追い上げは厳しかったです。車のコンディションは良かったですし、速い車だったので、単独であれば良いペースで走れましたので、悔しさは残りますが、また来年に向けて準備していきたいです。ありがとうございました」

ショーン・ウォーキンショー選手のコメント

「結果的には残念なレースでした。高木さんのスティントのペースは良かったが、ポジションを大きく上げる事が出来なかったので、後半はタイヤ無交換で行くことになりました。頑張って走りましたが、終盤は最後まで走り切る為にタイヤをもたせるのが難しかったです。ランキングは2位で昨年より良くなったので、来年はもっと良くなるように頑張ります。1年間ありがとうございました」