レポート Report

不安定なコンディションにもかかわらず自分たちの走りをして6位

第6戦を終えた時点で8号車のARTA NSX-GTはランキングで8番手につけ、トップとの差は24ポイント。残り2戦でこの差を逆転するのは非常に難しいが、ARTAは今年の残りの2レースで最高のパフォーマンスを発揮出来るようにしていきたい。
 雲行きが怪しい中、午前のセッションが始まった。走り出しから車のバランスは良く、大きくセット変更をする事もなく予選に挑む事になった。

Q1のアタッカーは野尻智紀選手。雨が強くなりそうだったので、早めにコースに入っていった。野尻は最初のアタックで前車に追いついてしまったが、落ち着いていた野尻は一度アタックを止め、前車との間隔を空けてから再度アタックに入った。野尻は集中力を切らす事無く、3番手のタイムを叩き出しQ2進出を決めた。

Q2は小林崇志選手がアタック。天候が安定しない中、エンジニアの星は300クラスの予選を終えたばかりの高木真一を捕まえ、トラックコンディションの情報を聞き出してから決勝を見据えたタイヤチョイスをした。ドライタイヤで走った小林は所々濡れている路面と悪戦苦闘しながら、何とか6番手のポジションを手に入れ、明日に望みをつないだ。


鈴木亜久里監督のコメント

「非常に難しいコンディションだったのに、エンジニアもドライバーもその時々の判断が良かったね。6番手というポジションは僕たちにとって悪くないと思っているので、明日はトップ争いに加わって、盛り上がるレースにしたいね」

星学文エンジニアのコメント

「今朝の走り出しからバランスは良くて、想定していたとおりのパフォーマンスで走れたと思います。予選はウェットコンディションでしたが、車両のベースのセットはドライのままでも走れるだろうという判断で、少しアジャストしてQ1を野尻に行ってもらいました。気温も低かったので、タイヤチョイスで少し迷いましたが、選んだタイヤがマッチしたので良かったです。Q2は300の高木選手のコメントも参考にしましたが、予定通りドライタイヤで行きました。トップとの差が少し開いていましたが、レクサス勢がどのようなタイヤをチョイスしたか分かりませんので、なんとも言えませんが、我々が選んだタイヤが決勝で有利になる事を望んでいます」

野尻智紀選手のコメント

「Q1もQ2もコンディションが凄く不安定でしたが、それに左右されず僕たちなりの予選が出来たと思います。今のセットの弱いところも見えてきましたし、明日に向けてのアイデアも出てきたので、しっかりとミーティングしてトップグループでレースを展開していきたいです」

小林崇志選手のコメント

「所々雨が残っている中でドライタイヤでのアタックを敢行しました。濡れているところで足元を救われるような事もあって自分の思い通りに走れなかったんですけど、6番手という位置は決して悪くないですし、車自体のバランスも結構良いので、決勝前のウォームアップでセットを決められれば、優勝争いも夢では無いと思っているので、しっかりと準備していきたいです」

難しい状況だったが、二人でマシンを上手くまとめて予選3位

55号車、ARTA BMW M6 GT3の現在のランキングは5番手でトップとの差は14ポイント。ライバル達は非常に手強いが、残り2戦で最高のパフォーマンスを出して逆転チャンピオンを狙いたい。

我々の車はこのコースとの相性は良さそうで、走り出しからバランスが良く予選でのポジションが期待された。
Q1はショーン・ウォーキンショー選手がアタックを行った。午前のセッションの予選シミュレーションでは思うようにタイムを出す事が出来なかったが、本番に強いショーンは難しいコンディションの中、難なくQ1を突破し、高木真一選手にQ2のバトンを渡した。

高木は序盤、あっさりとトップタイムをマークしたように見えたが、エンジンの回転が上がらないトラブルが発生していた。そのままアタックを続けたが、タイムは他車に塗り替えられ3番手で予選を終えた。エンジン不調の原因は分かっていないが、明日までに改善し、優勝争いに加わりたい。


土屋圭市アドバイザーのコメント

「ショーンは午前中タイムが思うように出てなかったけど、Q1でしっかりとタイムを出してきてくれたし、真一はエンジンが吹け上がらないのに、良くあのタイムを出してきてくれた。エンジンの不調はこれから調べないといけないけど、改善されれば明日は面白いレースをお見せ出来るだろうし、そう出来るように頑張ります」

安藤博之エンジニアのコメント

「走り出しはウェットコンディションだったので、セットの確認を行いました。ドライになってからはタイヤの比較を行い、予選シミュレーションを行いました。車のバランスは持ち込みセットが良かったので、ちょっとしたアジャストでタイムが上がっていきました。我々の車は非常にパフォーマンスが高いと思っています。予選はQ1、Q2ともウェットコンディションでしたが、データをもとにアジャストしてアタックしてもらったら、まずまずのポジションで戻ってきてくれました。明日は優勝を目標に戦略を立てていきたいです」

高木真一選手のコメント

「ショーンはこのサーキットも初めてで、Q1はコンディションが不安定で難しかったにもかかわらず、キッチリとタイムを出してきてくれました。この車もタイで2回目の走行で、そこそこ良いセットも見つかっていますが、Q1のコンディションは本当に難しかったのでショーンは良い仕事をしてくれました。Q1のショーンのコメントやデータをもとにQ2を走る事が出来て、トップとの差も少ないのでチームに感謝したいです。明日はドライでもウェットでも3位以上は狙いたいなと思っています」

ショーン・ウォーキンショー選手のコメント

「予選はまずまずの出来だったと思います。コンディションはドライだったり、ウェットだったりしてトリッキーでしたが、何とかタイヤマネージメントが出来ました。Q2に進出する事が出来て嬉しかったです。高木さんは早めにタイムを出して最終的に3位になりましたが、チャンピオンシップを争うには悪くないポジションだと思います」

トップグループと違う作戦で上位を目指したが難しい判断

このレースウイークは雨が降ったり止んだりの繰り返しだったが、決勝日の午前中は天候が良かった。しかし、全車がグリッドに整列したとたんに雨が降り出した。スコールでは無かったが、徐々に路面が濡れていき、スタート直前には完全なウェットコンディションになっていた。

チームは迷わずウェットタイヤをチョイスして、スタートドライバーの野尻智紀選手を送り出した。雨が強くなりそうだったので、セーフティーカースタートとなった。セーフティーカーが2周した頃には雨も弱まりスタートが切られた。

野尻はポジションをキープして周回を重ねた。雨は少しずつ弱まり、10周を過ぎたあたりからピットインをする車が増えてきた。ウェットタイヤでスタートしたチームがドライタイヤに変えるためだ。チームは野尻をピットに入れてドライタイヤに変えるかどうか考えていた。他車と比べると、ラップタイムは遅くなかったので、ピットインのタイミングをルーティンのピットインまで延ばし、後続との差を広げる作戦を取った。野尻は2番手までポジションを上げていたが、雨が完全に止み、路面はほぼドライコンディションに変わっていた。

ペースが極端に落ち始めたので、チームはルーティンのピットインを23周目に行い、小林崇志選手にバトンタッチ。小林は14番手でコースに復帰した。

早めの交代だったので、小林のスティントはレース距離の2/3を走らなくてはならなかった。タイヤマネージメントが重要になってくるが、小林は安定したペースで41周目までにポイント圏内の8番手までポジションを挽回した。

ここから小林は更にタイムアップをして周回を重ねるが、45周を過ぎた辺りから車のコントロールが難しくなってきてしまった。56周目にはついにポイント圏外の11番手までポジションを落としてしまうが、小林は何とか車をコントロールし、ポイント圏内の車とデッドヒートを繰り返しポイント獲得を目指した。しかし、わずかに及ばずチェッカーが振られてしまった。戦略的に見れば非常に難しいレースではあったが、車のバランスは決して悪くないので、最終戦のもてぎで有終の美を飾りたい。


鈴木亜久里監督のコメント

「結果的に見れば作戦の失敗だったけど、コンディションが変わりやすい中でどっちを取るかの判断は難しかったね。他と同じ作戦ではその上を望めないから、最終戦も前進あるのみです」

星学文エンジニアのコメント

「決勝直前に雨が降り始めたので、そこでドライで行くかレインで行くか迷いましたが、これだけ路面が濡れていたので、徐々に乾いていったとしてもミニマム周回数で入れば、元のポジションには戻れるだろうと考えていました。最初のスティントの後半でペースが予想以上に上がらなかったので、戦略的にそこが良くなかったと思っています。そういう戦略でいったので後半の距離が多くなってしまい、終盤の順位争いで踏ん張りきれませんでした」

野尻智紀選手のコメント

「不安定なコンディションでスタートが切られましたが、レインタイヤをチョイスしたのは間違いじゃなかったです。しかし、路面が乾いてきた時に上位のチームはすぐにドライタイヤに変えましたがその辺の判断は僕たちにとって難しかったです。雨雲はまだ残っていたので、そのまま走っていればまた雨が降る可能性も残されていたからです。結果的にみればそこでドライタイヤに変えたのが正解でしたが、上位のチームと同じ事を行っていてはそれ以上の結果を望めないので、自分達を信じて走りました。結果だけを見れば悪い方向へ行ってしまったので悔しいですが、レースの戦い方としては間違っていないと思っています。もちろん戦略も含め、車のセットの部分もまだまだ向上させていかなくてはなりませんので、最終戦に向けて準備をしていきます」

小林崇志選手のコメント

「スタート時は雨が降っていたので、ほぼ全車レインタイヤのスタートだったと思いますが、10周を過ぎたあたりで路面が乾いてしまいました。そこでドライタイヤに変えるチームが多かったのですが、その時点で僕たちの車にはまだスピードがあったので、ドライに変えるメリットが無いと考えていました。しかし、予想以上にドライコンディションでのレインタイヤの摩耗が激しかったので、結果的に早めにドライタイヤに変えた車に逆転されてしまいました。そこから何とかポイント圏内にポジションを回復する事が出来たのですが、なかなかペースが上がらず悔しいレースになってしまいました。次は今年最後のレースなので、しっかり分析して最終戦では良い結果を出したいです」

終盤のガス欠症状で表彰台を逃すも健闘して4位

スタート直前の雨はレインタイヤを選ぶべき雨だったが、風上の向こうには青空が見えていた。週末は雨が降る時に暗雲が立ち込めていたが、今日の雨は薄雲でも雨が降っていたので、戦略を立てるのには非常に難しいコンディションだった。

スタートドライバーの高木真一選手はセーフティーカースタートの後、2つポジションを落としてしまう。しかし、どのような展開になるか予想出来なかったので、高木はなるべくタイヤに負担をかけずに徐々にペースを上げていく事を考えていた。10周を過ぎた辺りから路面が乾き始め、ドライタイヤに履き替えるチームが増えてきた。高木のペースはドライタイヤを履いている車のラップタイムと遜色無かったので、ペースが落ちるまで引っ張る作戦をとった。高木は14周目に一時3番手までポジションを上げるものの、ラップタイムが徐々に落ち始めたので、20周目にピットインし、ショーン・ウォーキンショー選手に交代した。

ショーンは13番手でコースに復帰し、全体の中でも速いペースで周回を重ねた。42周目には4番手までポジションを回復し、3番手の車の背後まで迫ってきた。ショーンはストレートスピードに勝る前車を果敢に攻めて抜きにかかるが、終盤はガス欠症状が出てしまい4番手でレースを終え貴重なポイントを獲得した。


土屋圭市アドバイザーのコメント

「ガス欠症状がでなければ表彰台に登れたかもね。ペースが良かっただけに残念。しかし、この勢いをキープして最終戦では勝ちたいね」

安藤博之エンジニアのコメント

「車はドライでもウェットでもバランスが良かったので、どちらにも対応出来る準備はしていました。序盤の雨で高木さんが目一杯引っ張ってショーンに替わる作戦を考えていましたが、雨が止んでからはドライタイヤのペースが速かったので、その辺の作戦変更が難しかったです。ショーンのペースは非常に速かったですが、表彰台を逃してしまったので、帰ってから再度データを見直して最終戦に向けて準備をしたいです」

高木真一選手のコメント

「難しいコンディションだったので、タイヤ交換のタイミングは非常に難しかったですが、ミニマムの周回数で交代する事で周りの流れも見やすくなるので、ミニマムの周回数でピットインしました。ピットインまでは良い戦略だったと思っていましたし、ショーンも良いペースだったので表彰台は登れると思っていましたが、3番手の車を攻略するところまでいけませんでしたね。ショーンのペースが良かっただけに悔しい結果になってしまいましたが、最終戦は何とか優勝して今シーズンを終えたいです」

ショーン・ウォーキンショー選手のコメント

「僕たちにはスピードがあったけど、ストレートスピードでは順位を争っていた車に負けていたね。何度か抜けそうなところがあったけど難しかった。でもポイントを獲得出来たし、我々の車はとてもバランスが良いので、最終戦も諦めずにプッシュします」