レポート Report

セット合わず、明日は後方からの追い上げを狙う

海外戦を終え、11月2日にガレージに戻ったARTA NSX-GTはすぐに最終戦に向けて車両の整備とセットアップを開始した。最終戦はウェイトハンディを全て降ろす事が出来、全車が本来のパフォーマンスを発揮して走れるレースだ。今シーズンを通して車のトータルバランスが良いARTA NSX-GTは最終戦も優勝争いの一角になると思われていた。しかし、いざセッションが開始すると順位は思うように上がらず、ドライバー、チームは原因を探し続けながらメニューを消化していった。

不安を残したままついに予選が始まった。Q1のアタッカーは野尻智紀選手。500クラスの予選はいつものとおりセッション半分まで全車が待機していた。最初にコースに出たのは野尻だった。クリアラップを取って早めにタイムを出す作戦を取った。タイヤが暖まってからタイムアタックに入った野尻は自己ベストを更新していくものの、満足のいくタイムを出す事が出来ず、Q1突破はならなかった。

明日は12番手と後方からのスタートとなるが、不調の原因を探し出し、明日のレースで挽回したい。


鈴木亜久里監督のコメント

「走り出しから何だか上手く行かなかったね。あまり良い流れではないので、これを断ち切って挽回したいね。明日は今年最後のレースなので、良いレースをしたいしポイントも獲得したいので、何としてでも解決策を見つけ出したいと思っています」

星学文エンジニアのコメント

「午前のセッションの走り出しはそんなに悪くないと思っていましたが、タイムが上がっていくに連れて車が合わなくなって、ピーキーな特性になってしまいました。今回持ってきたセットが良くなかったと思われるので、QFに向けて方向性を変えてみました。午前に比べれば改善出来ていたのですが、Q1を突破出来るところまで持っていけませんでした。明日また頑張ります」

野尻智紀選手のコメント

「今回チームと相談しながら持ってきたセットアップが予想以上にモテギで機能してくれませんでした。走りながら原因を追求しながらやってきましたが、今ある時間中で上手く合わせきれませんでした。このレースは距離が短いので、予選で前のポジションにいたかったのですが、明日までに出来る事もありますので、しっかり探して最低限でもポイントを獲得し、表彰台も視野に入れて頑張りたいです」

小林崇志選手のコメント

「朝の走り出しから車の全体的なフィーリングがしっくりきませんでした。色々と改善を試みたのですが、うまく行かず、根本の解決が出来ませんでした。明日までに不調の原因を探し出し、上位でゴール出来るように頑張ります」

マシンの良さを上手く引き出し、予選2番手から優勝を狙う

昨年の最終戦はまともに走行が出来ていなかったのでデータが非常に少なかったが、想定したセットの持ち込みは非常に良く、チームは予選で上位に食い込める手応えを感じていた。

ショーン・ウォーキンショー選手はこのコースを走るのが初めてなので、午前のセッションはショーンの慣熟走行を行うとともに、セットアップを進めていった。まずまずの手応えを得て予選を迎えた。

Q1はショーンがアタックする事になった。ひとつ心配だったのは気温だ。午前中から日差しが強くなりはじめ、気温が上がり始めていた。ショーンは7番手でQ1を突破し、何とか高木真一にバトンを渡したものの、アンダーステアの症状が強くなっているとコメント。チームは車高を調整して高木を送り出した。

高木は前車との間合いを計りながら、2周目にタイムアタックに入った。この時点でトップタイムを記録するが、セッション後半にランキングトップの4号車に塗り替えられてしまった。惜しくもポールは逃したが、フロントローからのスタートは優勝も狙えるポジション。明日は何とか表彰台の一番高いところに立ち、有終の美を飾りたい。


土屋圭市アドバイザーのコメント

「上出来の予選だったね。二人とも良い仕事をしれくれたと思います。明日はピット作業が鍵になると思うので、ドライビングも含め、ミスなくレースを戦えれば良い結果を出せるんじゃないかな。もちろん優勝しか考えていません」

安藤博之エンジニアのコメント

「ショーンはここが初めてなので、長めに乗って慣れてもらいました。その後、高木さんがセットを進めてくれました。メニューの進み具合も良かったので、ショーンには予選のシミュレーションもやってもらいました。バランスも良く、タイヤのグリップも非常に高かったので、予選に向けて少しアジャストして行ってもらいました。流れも非常に良いので、優勝目指して頑張ります」

高木真一選手のコメント

「ショーンがQ1で少しアンダーステアの症状が出ていたというので、車高調整をしたらバランスが向上しました。ショーンが3周目にタイムを出していたので、ボクも3周目にアタックしようと考えていたのですが、前の車に追いつきそうだったので、2周目にアタックする事にしました。結構良いタイムが出たので、そのまま3周目もアタックする事にしましたが、3コーナーでちょっと突っ込みすぎてしまいました。去年はここであまりきちんと走れていなかったので、M6のパフォーマンスをきっちり出せているかどうか分かりませんでしたが、しっかり良いところを出し切れたと思います。タイヤも非常に良いパフォーマンスを発揮してくれているので、最後まで良さをキープ出来れば良い結果を出せるのではないかと思っています」

ショーン・ウォーキンショー選手のコメント

「予選の結果はとても良かったです。ボクも何とかQ1を突破する事が出来たし、高木さんはファンタスティックな仕事をして2番手を確保してくれました。トップ5の車は非常に速いですが、ボク達が何とかトップに立てるように頑張ります」

マシンバランスは上向くが上位には届かず

予選のポジションが悪かったので決勝までにセッティングを見直し、ウォームアップ走行で確認したところ、バランスは向上しているようだ。ARTA NSX-GTは今年3回もポールポジションを獲得していて、シーズンを通して大きくバランスが狂う事は無かったが、昨日はなかなか出口が見えなかった。抜きどころが少ないこのコースでいかに順位を上げていけるかは、作戦とレースラップの速さが鍵を握る。

スタートドライバーは野尻智紀。スタート直前にトップの2台が接触する波乱のスタートになったが、野尻は順位をキープして周回を重ねた。しかし、6周目に10番手にポジションをあげた時に、300クラスの車両に引っかかったタイミングで後続車に追突されてしまうハプニングがあった。リアのディフューザーが破損してしまうものの、ラップタイムに影響は無く、そのまま走行を続け翌周には8番手までポジションを上げる。しかし、徐々にタイヤのグリップが落ちてきてしまう。野尻は必死にコントロールし、21周目にルーティンのピットインを行った。この時点でポジションは7番手。

小林崇志に代わり、13番手でコースに復帰。他車の接触もあり、25周目にはポイント圏内の10番手までポジションを上げる。小林はトップグループのラップタイムで安定した周回を重ね35周目には9番手までポジションを上げた。しかし、そこから更にポジションを上げるまでには至らず、今季最後のレースを9位で終えた。

今年応援して下さったファンの皆さま、そしてチームを支えて下さった皆さまに感謝を申し上げます。ありがとうございました。来季も宜しくお願いします。


鈴木亜久里監督のコメント

「決勝のラップタイムは悪くなかったね。もう少しレベルを上げていかなくてはならないけど、昨日の状態からここまで引き上げてくれたチームには感謝します。今年応援、ご支援して下さった皆さまに御礼申し上げます。ありがとうございました」

星学文エンジニアのコメント

「昨日の予選でセットを上手く合わせ込む事が出来なかったので、昨晩ドライバーやタイヤエンジニアとミーティングして方向性を大きく変えました。昨日より改善されたようで、レースラップもそんなに悪くありませんでした。しかしまだトップとの差があり、まとめ切れなかったところがありました。今年勝てたレースもありましたが、アベレージで言うとまだレベルが高くないので、来年はどうやってアベレージを上げて行くかをオフシーズンで作り上げていきたいです」

野尻智紀選手のコメント

「予選のポジションが悪かったので、作戦としてはボクがマキシマムの周回まで引っ張って、他車がピットインしている時に順位を上げて行く予定でした。序盤は攻めていないにもかかわらず、他車と比べて速さがあると感じました。しかし、そこから10周を過ぎたあたりでボクらが煮詰めきれていない部分が顔を出してきてしまい、思うようなペースを刻む事が出来ませんでした。予定通りに進める事が出来なかったので、早めにピットインして小林さんに代わりました。ファーストスティントではそれなりに順位を上げる事も出来ましたが、今週末は予選までに車を仕上げきれなかったのが一番の反省点です。今シーズンは勝つことも出来ましたが、上手く出来ないレースもあり、浮き沈みが激しいシーズンでした。安定して戦えないとポイントを稼げないので、ボク達の新たな課題が出来たと思っていますが、飛び抜けて良かった部分もあるので、レベルを少しずつ上げていきたいと思っています」

小林崇志選手のコメント

「ファーストスティントで野尻選手のタイヤが厳しくなってきたので、後半は違うコンパウンドのタイヤでコースに出ていきました。最初から猛プッシュしてペースもすぐに上げる事が出来たのですが、今年あまり起こらなかったピックアップの症状が発生してしまいました。何とか走りながらそのピックアップを取る事も出来たのですが、300クラスの車両を抜く時にまた出てしまって、なかなかコンスタントに周回する事が出来ず、前車との差を広げられてしまい悔しい思いです。来年に向けてまた頑張っていきたいです」

マシンの全てを引き出して悔いのない2位

決勝に向けてのセットに多少不安があったチームは、ウォームアップ走行でセットの確認を行った。予想していた動きと違ったので、車をアジャストしてスタートを待った。

スタートドライバーは高木真一。高木は2番手をキープしたまま、周回を重ねるが、ポールポジションの車に徐々に離されてしまう。しかし、高木は前日からタイヤ無交換の作戦を練っていたのでタイヤをいたわりつつ、周回を重ねていった。16周目にはトップの車がピットインを行い、トップに躍り出た。20周を過ぎたあたりからタイヤのグリップが心配になりはじめたエンジニアは無線で高木にタイヤの状態を聞いた。高木は無交換で行けるとの回答で、作戦を実行する事になった。

そして31周目にピットインを行い、ショーン・ウォーキンショーに代わった。ドライバー交代と給油のみ済ませ、ショーンはコースに復帰。作戦通り見事1番手をキープしたまま周回を重ねた。初めてのコースにもかかわらず、何度もこのコースでレースをした事があるような走りでショーンは走行を重ねた。ラップタイムは速かったものの、2番手を走っていた65号車は更に速いペースで徐々に差を縮めてきた。残り3周で背後に迫り、何とか抑えるものの、次の周のストレートで抜かれてしまい、トップの座を受け渡してしまった。そのまま追いつく事が出来ず2位でレースを終えた。

数字上ではチャンピオンの可能性はあったもののライバル達はとても手強いので、このレースで勝つことだけを考えてレースに挑んできただけに悔しい結果となったが、車のポテンシャルを最大限引き出し、素晴らしいレースを展開出来たので良い締めくくりになったレースだった。

応援して下さった皆さまに感謝申し上げます。ありがとうございました。来年もご声援宜しくお願いします。


土屋圭市アドバイザーのコメント

「いやー、皆んな良く頑張ってくれた。凄く良いレースだった。結果的に2位だったのは悔しいけど、お客さんに楽しんでもらえたんじゃないかな?戦略としては間違って無かったと思うけど、こればっかりは終わってみないと分からない事だからね。1年間ありがとうございました。応援して下さったファンの皆さんやスポンサーさんに感謝申し上げます」

安藤博之エンジニアのコメント

「ウォームアップではレース向けとタイヤマネージメントのセットを確認したところ、あまり結果が良くなかったのですが、レースまでに合わせ込む事が出来たと思っています。決勝ペースも良くタイヤの状態も良かったので、タイヤ無交換で行きました。終盤、リアタイヤがキツくなって2位になってしまいましたが、チーム、ドライバーも力を全て出し切れたと思っているので、これはこれで喜びたいと思います」

高木真一選手のコメント

「いいレースだったと思います。ブリヂストンさんも良いタイヤを用意してくれたし、チームも上手く車を仕上げてくれてとても乗りやすい車でした。タイヤ無交換はギャンブルでもあったのですが、ショーンが最後までペースも落とさず走ってくれました。ラスト2周で抜かれてしまいましたが、それは終わってみないと分からない事だったと思います。ボク達はあの車が持っているポテンシャルを全て引き出す事が出来たと思っていて、良い1年の締めくくりが出来たと思っています。ありがとうございました」

ショーン・ウォーキンショー選手のコメント

「トップをキープ出来ずに2位になってしまった事は悔しいですが、最後はリアタイヤが厳しくなってしまい、抑えきる事が出来ませんでした。チームは良い車を用意してくれて、終始バランスも良く作戦も良かったですが、1位になれなかったのは悔しいです」