レポート Report

午前中の不振も全員の努力で予選4位まで挽回

3月の公式テストでの感触は非常に良かった#8 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GTだったが、今朝のフリー走行ではその好調さがどこかへ行ってしまったようだ。

富士はトップから最後尾までのタイムが1秒以内に入る事が多い。フリー走行もトップから最後尾までが約0.9秒差だが、高速コースでの0.1秒は思ったより差が大きい。8号車はトップから0.5秒離され、11番手と低迷してしまった。

予選でどの程度パフォーマンスを上げられるかが非常に不安だったが、車のセットアップを見直して松下信治選手にQ1を託した。松下選手は8番手のタイムを記録しQ2進出を決めた。セットアップのアジャストは上手くいったようだ。

続く野尻智紀選手は、Q2開始と同時にコースイン。タイヤのウォームアップにいつもより時間をかけてアタックへ入って行った。野尻選手は4番手のタイムを叩き出し、今朝の不調が嘘のような予選だった。

明日は3時間の長丁場のレースとなるが、何とか表彰台に登れるようなレースを展開したい。


鈴木亜久里監督のコメント

「富士のテストでは手応えがあったけど、今日はその時のイメージとはかけ離れていたね。でも、ドライバー、エンジニア、メカニック達が予選までにしっかりと車を作り上げてくれて、4番手のポジションをゲットしてくれるなんて夢のようだね。決勝は守りの姿勢ではなく、攻めて行って良い結果を追求したいね」


土屋圭市エグゼクティブアドバイザーのコメント

「朝の走行を見ていたら、Q1を通るかどうか心配だったけど、やはりチームが良いと適切なセットを見つけてくれて、上手くつないでくれるところが凄い。もちろんノブも野尻も素晴らしいドライビングをしてくれたので、皆の努力を考えると、明日は表彰台に何としても乗ってもらいたいね」


田中洋克チームディレクターのコメント

「バランスが悪くて、合わせ込みが上手く行かなかったのですが、予選までに何とか調整が出来て、4番手まで上がる事が出来ました。今朝の状態を考えると良い結果だったと思っています。明日はレースで良い結果を出せるように頑張りたいと思います」


野尻智紀選手のコメント

「午前のフリー走行では苦戦していましたが、チームが良いセットを見つけてくれて、ノブもQ1で善戦してくれました。Q2に向けて更にアジャストしてここまでリカバリー出来たので、皆に感謝したいです。明日の決勝は表彰台で戻ってこられるように集中して戦って行きたいです」


松下信治選手のコメント

「走り出しからバランスがあまり良くありませんでしたが、チームメイトの16号車が好調でしたので、それを参考にして車のバランスを取り戻す事が出来たと思います。レースが長いので、ミスなくしっかりとポイントを獲れるような1日にしたいと思っています」

開幕戦のクラッシュからメカニックの懸命な修復でクルマはいい方向へ、予選3番手で決勝を戦う

開幕戦では、まともに戦う事なく戦列を去ってしまったが、メカニック達の尽力によりこの場に車を持ってくる事が出来た。

フリー走行は走り出しから手応えはあったが、ターゲットタイムには届かなかったのが心残りだった。

Q1は大津弘樹選手が担当。大津選手は車のポテンシャルを最大限に引き出し、2番手でQ2の佐藤蓮選手につないだ。

佐藤選手はアタックラップで4輪脱輪の疑いがあったが、ベストタイムのラップではなかったため、そのタイムが有効となり、3番手のタイムでスターティンググリッドを確定した。

開幕戦ではノーポイントだったので、このレースで大量ポイントを獲得したい。


鈴木亜久里監督のコメント

「トップに届かなかったのは色々と理由があるけど、それよりも決勝のコンスタントラップが重要だね。しっかりと準備を進めて、明日の決勝に備えたいね」


土屋圭市エグゼクティブアドバイザーのコメント

「大津が岡山からとても速い。チームも良いセットアップを見つけてくれたのもあるけど、それは大津のフィードバックが良かったから。蓮のパフォーマンスも良かったので、明日は期待出来るけど、長いレースだからトラブルに巻き込まれないように、そしてミスが起きないように集中していきたいね」


田中洋克チームディレクターのコメント

「走り始めはなかなか良かったのですが、500クラスの専有走行では思っていたようなタイムが出なくてちょっと心配しましたが、3番手からスタート出来て良かったです」


大津弘樹選手のコメント

「車のポテンシャルが高かったので、フリー走行から良い感触を得ていました。岡山でのクラッシュからメカさん達が車を何とか修復してくれましたが、修復の状態が非常に良かったのをフリー走行で感じる事が出来たので、予選に自信を持つことが出来ました。ポールを獲れなかったのは悔しいですが、それが予選の結果にもつながりましたし、明日の決勝は長丁場なので、優勝目指して精一杯頑張りたいと思います」


佐藤蓮選手のコメント

「走り出しからパフォーマンスが高い印象があって、QFシミュレーションでも良い感触を得られていました。そこから予選に向けて少しアジャストして、更に良い方向へ行ったので、車のポテンシャルも上手く引き出せたと思います。Q1で大津さんが2番手のタイムを出してつないでくれたので、ポールを狙っていたのですが、トップ2のタイムを超える事は難しかったです。しかし、明日は優勝を狙えるポジションなので、優勝を目指して頑張ります」

2番手まで上がるも最終スティントでタイヤがマッチせず9位

スタート前の天候は快晴で初夏を思わせるような暑さで、風は少し強く、メインストレートでは追い風のようだ。

ウォームアップ走行ではいつものように決勝のセットを確認し、3時間レースのスタートを待った。

スタートドライバーは野尻智紀選手。パレードラップ、フォーメーションラップを終えスタートが切られた。

スタートの混乱はなく、ポジションをキープしたまま周回を重ねた。20周まで大きな動きは無かったが、22周目に300クラスの車両がコースアウト。このレース初のFCYが運用された。翌周にリスタートが切られ、4番手をキープしたままレースが進んでいった。

野尻選手は27周目に最初のルーティンのピットインを行い、給油、タイヤ交換のみでコースへ復帰。15番手で周回を重ねた。

全車が1回目のピットインを終えた44周時点で野尻選手は2番手までポジションを上げた。野尻選手のペースは良かったが、トップの車もペースが良く、なかなか差が縮まらない。

72周目に2回目のピットインを行い、松下信治選手に交代。

85周目に全車が2回目のピットインを済ませ、それまでに激しい順位争いがあり、4番手を走行。しかし、87周目辺りからペースが上がらず、1周毎に順位を落としてしまう。90周目には7番手までドロップしてしまった。

最終ラップでガス欠症状が出てしまい、9位でチェッカーを受けてレースを終えた。


鈴木亜久里監督のコメント

「最後のスティントはタイヤのマッチングを読み切れていなかったね。2番手までポジションを上げてくれただけにこの結果は悔しい。最後のガス欠も原因をしっかり究明して、2度と起こらないようにしたい」


土屋圭市エグゼクティブアドバイザーのコメント

「野尻がかなり期待を持たせてくれたので、表彰台は間違いないと思っていたのですが、最後のスティントで選んだタイヤが合わなかったのか、セットが良く無かったのか分かりませんが、結果に繋げられなかったのが残念でなりません。次回までにしっかりと対策を練って、生かしたいですね」


田中洋克チームディレクターのコメント

「野尻は2スティント連続で走ってもらって、良いレースを展開してくれたのでそのまま行けると思ったのですが、3スティント目にタイヤをソフトに変えたら、うまくペースを作れず順位を落としてしまいました。状況を確認して次につなげたいと思います」


野尻智紀選手のコメント

「途中、良いところもあったのですが、最終的には9位でレースを終えました。今週末は良いところも、そうでなかったところも色々ありましたが、結果は悔しいですが、勝つためには精度だったり、自分たちがやれる事がまだまだあると感じています。次はしっかりとレース出来るように頑張りたいと思います。応援ありがとうございました」


松下信治選手のコメント

「サードスティントで野尻選手から良いポジションで受け継げましたし、マージンもあったので、堅いレースをしていこうという意気込みだったのですが、タイヤと路面を上手く合わせ込む事が出来なくて、ペースが大きく落ち込んでしまいました。車自体の速さはあると思うので、次回に向けて頑張りたいと思います」

クルマの出来はいいが結果に結びつかず、まずはポイント獲得目指して出直したい

開幕戦の岡山ではスタート直後に姿を消してしまったので、ここでは最後まで走り切り、大量ポイントを獲得したい。

スタートドライバーは大津弘樹選手。序盤はポジションをキープしたまま周回を重ねた。20周まで大きな動きはなかったが、22周目に300クラスの車両がコースアウト。このレース初のFCYが運用された。翌周にはリスタート、順位は3番手のまま周回を重ねた。30周手前辺りから順位争いが激しくなり、31周目の最終コーナーで順位をひとつ落としてしまう。更に2周後の33周目の最終コーナーで5番手まで順位を落としてしまう。徐々にタイヤのグリップが厳しくなってきたようだ。ペースが上がらなくなってきたので、38周目にルーティンのピットインを行い、佐藤蓮選手に交代した。

全車が1回目のピットインを終えた44周での佐藤選手の順位は7番手。右リアのホイールが上手く装着出来ず、順位を落としてしまった。

それを挽回すべく、佐藤選手のペースは良く、6番手の車の背後まで迫っていた。しかし、佐藤選手の背後に8番手の車も接近しており、60周目に抜かれて8番手に順位を落としてしまう。75周目に2回目のピットインを行い、ドライバー交代は行わず、予定通り佐藤選手がそのまま最後まで走る事になった。85周目には全車が2回目のピットインを済ませ、16号車は9番手を走行。91周目には300クラスの車両に引っかかってしまい、10番手にポジションを落としてしまう。更に次の周はポイント圏外の11番手までポジションを落としてしまう。

113周目に前車の背後まで迫ったが、追突してしまい、ポイント圏外でレースを終える事になってしまった。


鈴木亜久里監督のコメント

「開幕戦もこの富士も車の状態は決して悪く無いので、なぜこのような結果になってしまったかをしっかりと考察しなくてはならない。2戦連続でポイントを獲っていないので、まずは次のレースで上位フィニッシュが出来るようにレースを組み立てて行きたいね」


土屋圭市エグゼクティブアドバイザーのコメント

「他のメーカーの車に対して、ストレートスピードやコーナーの立ち上がりで置いていかれてしまいましたが、苦しい中で大津は良く踏ん張ってくれました。蓮も挽回しようとしてプッシュしてくれましたが、蓮に負担をかけすぎてしまったかも知れません。このような経験を次のレースに生かしたいです」


田中洋克チームディレクターのコメント

「最初のスティントでペースをうまく維持させてあげる事が出来ず、ポジションを落としてしまいました。蓮も頑張ってくれたものの終盤ペースが作れず、残念な思いです。しかし、この週末はポジティブな面もあったので、良いところをつなぎ合わせて、次回以降のレースに生かして、結果に繋げられるように準備を進めます」


大津弘樹選手のコメント

「序盤は何とかポジションをキープしながらレースを展開出来ていたのですが、タイヤをコンディションに合わせ切れなかったのと、ピックアップも多かったので、蓮のスティントには違うタイヤを選んで託しました。蓮のペースは悪く無かったですし、ペースも良かったので追い上げられると思ったのですが、ピットでロスもあって大幅に順位を下げる事になってしまいました。次に気持ちを切り替えて頑張りたいと思います」


佐藤蓮選手のコメント

「ピットアウト直後からバランス的には苦しい部分があって、他のメーカーの車と比較しても、セクター3やストレートで大きな差があり、厳しいレース展開になってしまいました。終盤1ポイントを争っていたところで、300車両が減速したタイミングで前車に当たってしまい、そのチームのドライバー、関係者の皆さまには申し訳ない気持ちです。反省して、次回以降、良いレースが出来るように頑張りたいと思います」

Round.2 / 2025