レポート Report

3度目のPP、明日こそ一番高いところへ!

第5戦の表彰台でハンディキャップウェイトは32kgとなったが、チャンピオンシップを争うライバル達よりは少ないウェイトだ。第7戦は全車ウェイトが半減され、最終戦はノーウェイトとなるので、ライバル達のウェイトが重たいこの第6戦で結果を出しておきたい。

予選では常に速さを見せてきた#8 ARTA NSX-GTだが、決勝ではなかなか望む結果につなげられていない。フリー走行では主にレースに重点を置いたセッティングを進めていった。走行メニューは順調に消化し、レースのセットアップは良さそうだ。

午後の予選Q1は野尻智紀がアタック。野尻はタイヤを暖めながらアタックに入ろうとしたタイミングで他車がクラッシュ。赤旗で中断になってしまった。既にタイヤに熱を入れていたので、再開時のタイヤのパフォーマンスに不安があった。しかし、野尻はタイヤのパフォーマンスを最大限に引き出し3番手のタイムを記録し、Q1を突破した。

続く福住仁嶺は早めにコースインをしてアタックを開始した。ギリギリでアタックをするより、余裕を持ってタイムを出す方が良いだろうという判断だった。福住はタイヤを暖めてからアタックに入り、1分44秒台を記録。野尻が持つコースレコードに迫るタイムを叩き出した。このタイムを超える者は無く、今季3回目のポールポジションを獲得した。明日は何としてでも優勝したい。


鈴木亜久里監督のコメント

「予選はいいんだけど、決勝で結果が欲しいね。大事なのは明日だから、明日のレースに集中します」

ライアン・ディングル エンジニアのコメント

「嬉しいです。今日はロングランのセットも進めていたので、しっかりデータを確認して明日に備えたいです」

野尻智紀選手のコメント

「予選は今まで良い結果が多かったですが、前回の鈴鹿の予選はかなり悪くて、またここに戻ってきて戦える状態に戻してもらえてチームに感謝しています。Q1ではアタックに入ってセクター1までは走ってしまっていたので、何だか嫌な流れになってしまったと思いましたが、幸いにもそこからピックアップ、大きなグリップダウンも無かったので、何とかQ1で3番手のタイムを出せたと思います。明日は良い位置からスタート出来るので、自分のスティントを最後まできちんと戦い抜きたいと思っています」

福住仁嶺選手のコメント

「前回の鈴鹿から車も見直して、少しでも良くなるように準備してきました。持ち込んだセットアップは前回より確実に良くなっていましたし、野尻さんがQ1で走ったあと、Q2に向けてアジャストしてもらい、いい状態でQ2を走らせてもらえたのでポールを獲る事が出来て、それはそれで嬉しいのですが、前回のレースで悔しい思いをしていますし、ここでポールを獲れるということは車が軽いという意味なので、明日は良いレースをして結果につなげたいです」

100kgウェイトをものともせず予選7位、明日はさらに上位を狙う

今季まだ優勝が無い#55 ARTA NSX GT3だが、ハンディキャップウェイトは100kgに達している。鈴鹿は相性の良いコースだが、この重さで予選でどの程度上位に食い込めるかは未知数だった。少しでも前のポジションでレースを始め、レースも優位に展開出来るようにチームはセットアップを進めた。Q1を突破出来そうな手応えがあったので、最初に高木真一がアタックを行う事になった。

今回も2グループに分けてQ1が行われたが、高木はAグループで出走した。陽が当たるところは暖かいが気温は徐々に下がり始めてきて、コンディション変化が心配だったが、高木は5番手のタイムを叩き出し見事Q1を突破してみせた。

Q2は大湯都史樹。前回の鈴鹿では元気の良い走りを我々に見せてくれたが、勢いが良すぎたせいか、リタイヤに終わってしまった。大湯にとって今回はそのリベンジマッチ。大湯のここ数戦の走りには目を見張るものがあり、予選の順位が期待された。

大湯は見事な走りを魅せ、何と7番手という好位置で予選を終えた。レースのセットは良さそうなので、明日は表彰台を狙いたい。


土屋圭市アドバイザーのコメント

「100kg積んでいる割には7番手というのは良く出来たと思うね。言い方を変えると4台抜けば表彰台だからね。周りの車が何秒ぐらいで走るか良く観察して今から良く考えておきます」

岡島慎太郎エンジニアのコメント

「Q1は高木さんで確実に突破出来るように考えていましたが、高木さんは不安に思っていたようです。しかし、何とかQ1は突破する事が出来ました。Q2は大湯で上位を狙おうと思っていました。セットアップ的にもQ1、Q2とも良いフィーリングで持っていくことは出来たのですが、100kgのウェイトが効いて7番手というポジションになってしまいました。この重さで最低限のパフォーマンスは発揮出来たと思っています。レースに関しては朝のフリー走行から色々試していて、良かった材料を組み合わせれば良いところへ行けると感じています。むしろ予選より良い結果を出せるのではないかと思っています」

高木真一選手のコメント

「100kgのウェイトを積んで走ったのですが、他にも5台ぐらいいるという事で、その上位のチームとの戦いになると思うのですが、朝のフリー走行から重さは感じるものの100kg積んでいるとは思えないほど車のバランスが良かったです。逆にレースのセットアップが見え隠れしていますが、今日の予選に関してはイメージ通りの車だったので思いっ切り攻める事が出来ました。Q1突破が厳しそうだったら大湯に行ってもらおうと思っていましたが、何とか通れそうだったのでボクが先に行きました。100kg積んだ中では良く出来た予選でしたし、大湯が頑張ってくれたからだと思います。大事なのは予選より明日の順位なのでチャンピオン争いに近づけるように頑張ります」

大湯都史樹選手のコメント

「出来れば5番手までが接戦だったので、もう少し前に行きたかったです。ボク個人としてはそこは残念です。しかし、高木さんも素晴らしい走りでQ1を余裕で通過しましたし、良いポジションでスタートを切れるのでレースでは良い結果を出せるように頑張ります」

ピット入口でのロスが響き、優勝逃すも3位連続表彰台

今季2回目の観客動員によるレースは朝から快晴だ。朝は少し寒かったが、ウォームアップ走行までには気温もあがり、レース観戦日和と言えるだろう。

野尻はトップで1コーナーに入り周回を重ねる。6周目から300クラスに追いつき、野尻は巧みに抜いてトップをキープ。徐々に2番手を引き離していく。野尻は13周目から徐々にタイヤのグリップが落ちてきた事を無線で伝えてきたが、ラップタイムは遅くない。

19周目にルーティンのピットインを行った。前の周に野尻は無線で風が強いので福住仁嶺に気をつけるようにアドバイスしてきた。野尻はピットロードへステアリングを切ったが、前に300クラスの車両が低速走行していた為、ここで大きくタイムロスしてしまった。福住に交代し、ピット作業はミスなく終わりコースへ送り出した。

22周目に300クラスの車両がコースアウトしてしまい、ここでセーフティーカーが導入された。ピットクローズドが出る前にタイミング良くルーティンのピットイン作業を終えた車両があったのと、先ほどのタイムロスで2台の車の先行を許してしまい福住は3番手にドロップしてしまう。

26周目にリスタートが切られた。福住はリスタート後にピックアップの症状を訴えてきた。前車のペースはわずかに速く、じわじわ離されてしまいそうになるが、周回遅れに引っかかったタイミングを利用して福住は大きく離されずに前に食らいついて行く。ピックアップと戦いながらもペースを元に戻し前車を追ったが、僅差で抜くことが出来ず、今季2回目の表彰台となったが、悔しいレースとなってしまった。


鈴木亜久里監督のコメント

「野尻の前半の走りは素晴らしかったね。しかし、ピットロードで遅い車に引っかかってしまって運が悪かった。勝てる手応えがあっただけに悔しいけど、車のバランスは良いから残り2戦勝てるように準備します」

ライアン・ディングル エンジニアのコメント

「作戦通りに行ったんだけど、2位の車のアウトラップはちょっと危険な走りでしたね。普通に行けばあれは抜けていたと思うので悔しいです。途中、ピックアップが酷く、アンダー方向へ行ってしまったので、ドライバーは大変だったと思います。3位表彰台に乗れましたが、嬉しさよりも悔しさの方が大きいです。しかし、今日、我々の力は精一杯出せたと思っていますので、良く戦えたという感じはあります。残り2戦は何とか勝ちたいですね。勝てる力はあると思います」

野尻智紀選手のコメント

「スタートから順調に走って後続にギャップを築けたと思うのですが、後半キツくなってきたところがあって、ギャップを詰められてしまいましたが、自分自身の走りとしては悪くなかったと思いますが、ピットに入るタイミングでピットの入り口で300の車両がかなり手前で減速したので、それで3秒ぐらいロスしてしまいました。それが無ければトップのままコースに戻れたと思うのですが、運だけで片付けてしまってはいけないと思うので、その辺を振り返ってどういう判断が出来たかしっかり検証して次回に生かしたいです。今回のレースは納得行きませんが、全体として力を出し切れたと思っています」

福住仁嶺選手のコメント

「野尻さんがピットインのタイミングで300の車に引っかかってしまいましたが、アウトラップは悪くなかったと思っていました。しかし、12号車に前に行かれてしまいました。その後は焦らず行こうと思っていましたが、直後にSCが入り、そのタイミングでもう1台前に行かれてしまいました。自分でもペースを上げられない状態でしたが、チャンスがあれば抜こうと思っていましたが、なかなか上手く行きませんでした。後ろからも速い車が迫ってきたので大変でしたが、何とか最後まで走らせる事が出来ました。今回は反省点が沢山あると思いますが、常に上位にいると思うので、これらの経験を生かしてしっかり戦って行きたいです」

ウェイト厳しく7位が限界でもランキング3位に浮上

昨日の予選後に車の不具合が奇跡的に見つかり、メカニックの調整により正常に戻った。しかし、これによって車のセットが変わってしまう可能性もあるので、ウォームアップ走行で微調整をして決勝に挑んだ。

高木はフォーメーションラップの走り出しの時にタイヤが暖まりにくい印象を受けたので、フォーメーションで十分熱が入るようにウェービングしたが、なかなか熱が入らず、スタート直後の1周目はコントロールに苦しみ、14番手までポジションを落としてしまう。

4周目に前車がトラブルでリタイヤし、13番手にポジションアップ。タイヤが暖まりペースは安定してきたものの、やはり100kgのハンディキャップウェイトが効いているようだ。高木は無線で重さを訴えてきたが、全体の中でもペースは悪くない。しかし、オーバーステアの症状が出てしまい作戦を変更し、早めにピットインする事になった。

高木は19周目にピットインし、大湯都史樹に交代。このタイミングで300クラスの車両がS字コーナーでコースアウト、セーフティーカーが導入される。この時点で大湯は19番手。まだ上位陣でルーティンのピットインを済ませていない車両は多く、セーフティーカーが解除された25周目に17番手。その翌周はポイント圏内の10番手までポジションを上げた。

30周目には更に順位を上げて、予選ポジションの7番手まで挽回。33周目まで4番手争いのグループにいたが、徐々に離されてしまう。#55 ARTA NSX GT3は7番手以上の中では最も重く、順位を上げるのが難しくなってきた。更に40周を過ぎたところで大湯はリヤタイヤのグリップダウンを訴えてきた。

大湯は不安定な車を何とかコントロールするが、徐々に6番手の車に離されてしまうが、7位でチェッカーを受け貴重なポイントを獲得した。これでランキング3位に浮上。残り2戦でチャンピオンを狙いたい。


土屋圭市アドバイザーのコメント

「ハンディキャップウェイト100kgの中ではトップでチェッカーを受けられたし、ランキング上位陣はあまりポイントを獲れなかったので我々は3位に上がる事が出来た。これでチャンピオン争いに残る事が出来たけど、もてぎはライバルが手強いし、富士は得意だけど油断の出来ないレースが続くね。集中して残り2戦を戦って行きたいです」

岡島慎太郎エンジニアのコメント

「何とかギリギリポイント圏内でレースを終えられたのは良かったと思います。ウェイトが重い車が他にいる中で、重い組の上位というのは素直に良かったと思っています。正直いうとセットアップ的にはオーバーが出てしまったのでレースのセットとしては不満が残っています。ポイントが獲れたのはSCのおかげもありますが、ランキング3位に上がれたのは非常に良かったです。残り2戦はランキング上位の車が得意とするコースなので、何とかチャンピオンを獲れるように頑張りたいです」

高木真一選手のコメント

「序盤、タイヤが予想よりも暖まりが良くなくて、一生懸命熱を入れていたのですが、周りの車の熱の入り方が良くて、スタートで飲み込まれて順位を落としてしまいました。しかし、暖まると車の調子はいいので、そこから追い上げられるだろうと思っていましたが、意外とペースが上がりませんでした。昨日、不具合が見つかり、直したものの、それに合わせてセットがウォームアップ走行で進められなかったので、車のバランスがオーバーステア方向になり、リアタイヤに負担がかかってしまいました。本来ボクが2/3走る予定だったのですが、予定より早く入り、後半は柔らかいタイヤで走ってもらいました。その後、SCが入ったというのもあり、何とか順位を上げる事が出来て、7位でチェッカーを受けられました。ランキング上位のチームがあまり多くポイント獲れなかったので、ここで3位に浮上出来たのは良かったと思います。残り2戦で何とかチャンピオン争いで勝ちたいですね」

大湯都史樹選手のコメント

「車もタイヤもキツかったですが、エンジニアさんもメカニックさんもとても良い仕事をしてくれて、現在の状態ではベストの仕事が出来て7位という結果を得られたと思います。ランキング上位勢はあまりポイントを獲れなかったのでボク達は3位に浮上出来ました。まだトップとの差は大きいですが、次のもてぎでしっかり準備をして結果を出して最終戦につなげていきたいです」

Round.6 / 2020