レポート Report

午前の不調からチームの努力でQ2進出8位

昨年までは鈴鹿のレースが最もレース距離が長いレースだったが、今年はこの8月の富士が最長で、500マイル(約800km)のレースとして戦われる。

昨年の8月のレースでARTAは見事優勝を果たし、今年もその再現をしたいが、距離が長くなったこのレースでどのような戦いを展開出来るかが後半戦の鍵だ。

タイから戻ってきた車を富士用にセット変更し、チームは車を持ち込んだ。午前のセッションは予選へ向けてタイヤのチョイスやセットの確認を行っていたが、なかなかパフォーマンスが向上せず、不本意な14番手でセッションを終えた

チームは予選までに大きくセット変更を行い、Q1に野尻智紀を送り込んだ。野尻は徐々にタイムアップし、7番手で見事Q1を突破した。午前の状況を考えると非常に素晴らしい結果だ。続く伊沢拓也は早めにコースインし、タイムアタックを開始。序盤、トップタイムを記録したものの、他車も徐々にタイムアップして最終的には8番手でQ2を終えた。明日は長距離レースなので、最後まで走り切りポイントを獲得したい。


鈴木亜久里監督のコメント

「午前の結果から見たら、予選でこんなにパフォーマンスが向上するとは思わなかったね。エンジニア、メカニック、ドライバーに感謝だね。明日は長距離のレースなので、色々なシチュエーションに対応出来るように準備して、予選のポジションより上の順位でチェッカーを受けたいね」

星学文エンジニアのコメント

「走り出しはタイヤとセットの確認から始めました。午前のセッションはセット変更など色々と試みたのですが、全然パフォーマンスが低かったので、予選に向けてセットの見直しをしたところそれが非常に上手くいきました。その結果、Q1を突破する事が出来ました。明日は長距離レースで各車がどんなタイヤを選択するのかまだ把握出来ていないので、まずは安定したパフォーマンスを発揮出来るようにもう一度セットを見直し、確実にポイントを獲得出来るようにしたいです」

野尻智紀選手のコメント

「午前のセッションではスピードが足りなかったのですが、インターバルで出来る限りの事が出来たと思いますし、その結果がQ1突破につながったと思います。明日は長距離なので、予選のポジションは大きな影響は無いと考えています。車のポテンシャルは上がってきていますし、明日のレースに向けて更に向上出来るように何とかしていきたいと思っています」

伊沢拓也選手のコメント

「朝の状況から見れば、野尻選手が頑張ってくれて何とかQ1を突破する事が出来ました。自分自身のQ2のアタックは大きなミスもなく、自分を出し切る事は出来たと思ったのですが、8番手でQ1からポジションを落としてしまったので、個人的には残念です。しかし、明日は距離が長いレースなので、ポイントを獲得出来るように準備したいです」

明日はフロントローから。長丁場のレースをきっちりと戦いたい

ARTA BMW M6 GT3はここ富士では非常に相性が良く、昨年の8月、今年の5月の富士で優勝を果たしている。しかし、今回は500マイル(800km)という今シーズン最も距離が長いレースを走るので油断は出来ない。

前回のタイではエアコンのトラブルが発生し、ドライバーはあと少しで熱中症になるほどだったが、午前のセッションでは完璧に直り、この暑い日本でも戦えそうだ。走り始めは高木真一がセットアップを進めていった。調子は良さそうで、常にタイミングモニターのトップグループにいた。

Q1のアタックはショーン・ウォーキンショー。ショーンは走り出しから好タイムを叩き出していたが、自己最速ラップを記録した時にミスを犯してしまった。そんな状況でも4番手でQ1を突破し、Q2の高木につないだ。

高木はタイミングモニターのトップに躍り出たが、終盤他車に抜かれ2番手にドロップ。しかし、フロントローからのスタートはレースを有利に進められるので、ミスなくレースを戦い優勝を狙いたい。


土屋圭市アドバイザーのコメント

「走り出しから調子も良かったので、いかに予選で上位になれるかを考えていました。非常に暑いコンディションなので、明日は車やドライバー、スタッフにトラブルが起こらないように注意を払いながら戦っていきたいね」

安藤博之エンジニアのコメント

「第2戦のセットを基本に改善出来るところをアジャストしてここに持ち込みました。良いところもあったのですが、タイム的にはトップと少々差がありました。温度が上がった事で、色々な面で変化が生じてしまいました。ただ、セットの変更による車の反応は良かったので、徐々にパフォーマンスが向上しました。午前のセッションでタイヤを上手く合わせ込むことが出来たので、予選でも良い結果を残すことが出来ました。明日は長距離なので、何があるかわからないので、どんなシチュエーションにも対応出来るように準備したいと思います」

高木真一選手のコメント

「相変わらずM6の調子は走り出すから良くて、ショーンのQ1のコメントを元にセットを変更したらすごく良くなりました。午前中はニュータイヤで良いタイムが出て、更にラバーグリップでタイムアップする事はわかっていたので、監督からは37秒台を狙っていくように言われました。何とか目標はクリア出来ましたが、ポールまでは手が届きませんでした。しかし、車は非常によくなってきているので、2番手というポジションを無駄にしないようにしっかり戦っていきたいです」

ショーン・ウォーキンショー選手のコメント

「予選は2番手になる事が出来て良い戦いが出来ました。2番手ではありますが、ストレートスピードが速いのでトップに立てると考えています。Q1はセクター3で少しミスをしましたが、4番手でQ1を突破出来て良かったです。また高木さんはQ2で素晴らしい仕事してくれたのでフロントローからスタートを切る事が出来ます。明日はレース距離が長いのでミスをしないように走りきりたいです」

パフォーマンス向上しペースも内容も良く、4位でゴール

チームは昨日のセットを見直し、ウォームアップでレースセットの確認を行った。 スタートは伊沢拓也。クリーンスタートポジションをキープしながら周回を重ねる。10周を過ぎたあたりから徐々にラップタイムが速くなり、16周目に1台抜いて、さらに23周目にもう1台抜いて6番手にポジションアップ。

28周目あたりから1回目のルーティンのピットインを始めるチームが出始めてきた。チームは周りの様子を見ながら伊沢を34周目にピットインさせて野尻智紀に交代。 野尻は10番手でコースに復帰。38周目までには6番手まで順位を戻す。野尻はトップグループに匹敵するラップタイムで周回を重ねる。68周目あたりから2回目のルーティンのピットインを始めるチームが出始め、野尻は73周目に伊沢に交代。伊沢は9番手でコースに復帰。他車のピットインもあり、2周後には6番手に順位を戻す。

2スティント目までは前車との差は10秒ほどあったが、この3スティント目ではコンディションも安定し、ペースも速く徐々に順位争いが激しくなってきた。他車のピットインもあり、伊沢は5番手にポジションを上げていたが、4番手、6番手の車と順位を入れ替えながらデッドヒートを展開していく。

112周目に野尻に交代。コース復帰後2周目に順位を6番手に戻すが、他車のトラブルにより126周目には5番手に浮上。その周に他車に追突されるトラブルもあり、ヒヤッとしたが、問題なく周回を重ねていった。

その後も安定したペースで周回し、148周目に4度目のピットイン。最後のスティントを伊沢に託した。

伊沢は4番手でコースに復帰し、前後の車と僅差でレースを展開していった。途中、コースの一部で雨が降るという場面もあったが、ミス無く走りきり、4位でチェッカーを受け、貴重なポイントを獲得した。


鈴木亜久里監督のコメント

「昨日の朝のセッションから考えると、かなりパフォーマンスが上がったね。スタッフとドライバーの頑張りに感謝したい。ペースが非常に良かったし、内容も良いレースだったけど、強いて言えばホンダのトップでゴールしたかったね。でも非常に良い雰囲気なので、後半戦に向けてはずみがついたね」

星学文エンジニアのコメント

「予選結果を見るともう少し改良が必要なので、ウォームアップではそのセットの確認をしてレースに挑みました。我々が選んだタイヤを上手く最後まで使いこなす事を考えてセットを考えました。決勝で走ってみたらまだ改善すべき点はありますが、昨日よりは良い状態になりました。来週テストもあるので、後半に向けてパフォーマンスを上げられるようにしたいです」

野尻智紀選手のコメント

「1stスティントのペースを見ると他と差があるのかな?と感じましたが、2ndスティント以降はコンディションが安定してきてトップと遜色ないペースで走れていたので、思わぬ収穫があったレースだと思います。5月のレースでは1分以上差をつけられてしまいましたが、今回はウェイトを沢山積んだ状態で、この差なら評価出来る結果なんじゃないかと思います。本音はホンダでトップになりたかったですが、次につながるレースだったと思います」

伊沢拓也選手のコメント

「長いレースをミス無く最後まで戦い抜く事が出来たのは良かったです。しかし、レースのペースはNSXの中ではもう少しスピードが欲しかったので、悔しい部分もあります。ランキングを考えると良いレースが出来て、次につながるレースが出来たと思っています」

長丁場を二人でミスなく走りきり富士大会3連勝

長距離のレースとはいえ、フロントローからスタート出来る事はレースを戦ううえで非常に有利だ。チームはレースウォームアップでレースセットの確認を行ってスタートを待った。

スタートドライバーは高木真一。高木は良いスタートを切り、ポールポジションの車の頭ひとつ前に出たが無理をせず、2番手で1コーナーをクリアした。トップのペースを見ながら周回を重ね8周目の1コーナーでトップに立つ。

安定したペースで走っているものの、高木はライバルのタイムをチームに無線で確認しながら周回を重ねた。30周目に1番手をキープしたままルーティンのピットイン。ショーン・ウォーキンショーに交代。

ショーンは10番手でコースに復帰。安定した速いペースで周回し、41周目にはポジションを1番手に戻した。ショーンは順位をキープし、66周目に2回目のピットイン。高木に交代。2番手とのマージンが大きかったので、高木は順位を落とす事なく、1番手でコースに復帰。

高木は安定したペースで後続を引き離し、1番手をキープしたまま101周目にショーンに交代。復帰後も1番手をキープしたまま周回を重ねていく。

131周目に最後のピットインを行い、高木がチェッカーを目指した。途中、細かいトラブルやコースの一部で雨が降るなどミスを誘いそうな事が起こったが、ドライバーはミスする事なく、チェッカーを受けた。

今季2勝目で、富士は3連勝する事に成功し、高木は20勝目を記録した。


土屋圭市アドバイザーのコメント

「ドライバーもエンジニアもメカニックも全員非常に良いパフォーマンスを発揮してくれて、この結果につながったと思う。大量のポイントが獲得出来て嬉しいね。次はウェイトが重くなって厳しい戦いになるけど、チャンピオンシップを有利に進めていきたいね」

安藤博之エンジニアのコメント

「予選はポールを獲れませんでしたが、ウォームアップではレースに向けてタイヤのマネージメントを含めてセットアップを進めました。二人とも良いペースで走れましたし、タイヤのパフォーマンスも良かったので、このような結果が出せたと思います。SCも出なかったので、ほぼ戦略通りに戦えたと思っています」

高木真一選手のコメント

「富士は本当にM6との相性が良いのですが、前回のタイでポイントを取り逃し、その代りハンディキャップウェイトを積まずにこのレースに挑めたのは大きかったです。ここで勝つ事を目標に皆んなで力を合わせてやってきましたが、なかなかそういうのは実現しにくいのですが、ここまで上手く行くとは思いませんでした。トラブルも出ない車を仕上げてくれたチームに感謝です」

ショーン・ウォーキンショー選手のコメント

「富士に合った車で戦えて非常に素晴らしいレースでした。ポールポジションを獲れなかったのでチャレンジングなレースになりましたが、競争力のある車で、高木さんが最初に良いペースでギャップを作ってくれましたし、そのあとコンディションに応じてタイヤのコンパウンドも変えたので、とても良いパフォーマンスを発揮出来たと思います」