レポート Report

今季2度目のPP。明日こそ決勝で結果を出したい。

#8 ARTA NSX-GTは第3戦、4戦とノーポイントに終わったが、巻き返しを図るべく富士スピードウェイに乗り込んだ。前半戦は予選でのパフォーマンスは良かったが、決勝で車のバランスが整わず苦戦を強いられた。しかし、その原因も究明出来たので後半戦の戦いに期待がかかる。

午前のフリー走行は車のバランスもよく、2番手で走行を終える事が出来た。車のバランスに違和感もなく、予選を迎えた。

気温は低く、いつものGT500の予選ではセッション中盤以降に各車コースインするが、タイヤを暖める為に全車早めにコースに入った。Q1を走る野尻智紀も入念にタイヤを暖めてコースイン。全車徐々にタイムアップしていく中、野尻は終盤までアタックのタイミングを見計らっていた。その時点で野尻は14番手で、残り時間はあとわずか。セッション終了ギリギリで計測ラインを通過しアタックに入っていった。野尻は各セクターのタイムを大きく縮め、見事2番手でQ1を突破。チームスタッフをホッとさせた。

続く福住仁嶺もQ2開始と同時にコースイン。気温は更に低く難しいコンディションだったが、福住は時間をかけてタイヤを暖めアタックへ入っていった。ほぼノーミスで走りきった福住は、見事トップタイムを叩き出し、今季2回目のポールポジションを決めた。福住は自身でポールポジションを決めたのはこれが初めてで嬉しいポール獲得となった。


鈴木亜久里監督のコメント

「嬉しいね。でも、ウェイトも殆ど積んでないし、ここでの相性はいいから、この結果は欲しかったね。でも重要なのは明日。今まで予選は良かったけど、決勝のようにロングの走行で車のバランスが崩れてきてしまう事があったけど、ここに来る前に原因がわかったので、明日はトラブルに巻き込まれず、ミスなく走り切れれば良い結果を出せると思っています。気合入れて頑張ります」

ライアン・ディングル エンジニアのコメント

「今回は前回とセットアップのコンセプトを変えてきたので、よりドライバーの好みに合っていたと思います。また、他の車はハンディウェイトを積んでいるという事もありウチが有利になったと思っています。Rd.2で我々が出したポールタイムを上回ったのでそれはとても満足です。野尻のQ1での仕事には満足していますし、仁嶺がQ2でトップタイムを出してポールポジションを獲ったのは初めてなので、それもとても嬉しかったですね。今回は最後までしっかり走って結果につなげたいです」

野尻智紀選手のコメント

「今回はセットアップを変えてきたので、どのぐらいパフォーマンスが出るか不安もありました。Q1で良くなかったところをQ2へ向けてしっかり改善出来たと思うので、Q1でボクなりにしっかり仕事が出来たと思います。明日は優勝出来るように頑張ります」

福住仁嶺選手のコメント

「前回から車のセットを変えてきたので、午前のセッションではそのセットを把握する為に走りました。野尻さんとライアンさん、そしてチームみんなのおかげで何とかポールを獲得出来たと思っています。Q1が終わってから、Q2へ向けて車をアジャストしてもらいましたが、ボクは本当に車を運転していただけですが、良いタイムを出す事が出来ました。明日が大切なのでチーム一丸となって良い結果を掴み取りたいです」

Q1はトップ通過も、路温低下で攻略ミス。明日は11位から上位を狙う。

第5戦から後半戦に突入するSUPER GT。表彰台に乗っているものの、早く1勝が欲しい#55 ARTA NSX GT3は午前のフリー走行で大湯都史樹をメインで走行メニューを進めていった。車のバランスは非常によく、予選、決勝のセットもまずまずの仕上がりだ。

大湯は担当したQ1で車の好調さを結果で見せた。トップでQ1を締めくくり、Q2の高木真一につないだ。しかし、今日の富士スピードウェイは気温が徐々に下がり始め、路面温度はチームが予想していた気温より下がってしまった。

高木は暖まりにくいタイヤに入念に熱を入れて、セッション終盤にアタックを行う作戦を採った。最初のアタックに入っていった時にQ2の残り時間は約2分。その2分以内に計測ラインを通過すれば何とか2周はアタック出来る計算だ。

高木は最初のアタックのAコーナーでオーバーステアの症状が出てしまい、ここでアタックを中断し、次の周に賭ける事になった。しかし、残り時間は1分40秒弱。早めに計測ラインを通過しないと最後尾でQ2を終えてしまう。チームからプッシュして計測ラインを通過して最後のアタックに入るように指示が出た。高木が計測ラインを通過したのは残り時間わずか5秒ほどだった。ギリギリで最後のアタックへ入っていった。その時点でポジションは16番手。高木はタイムを縮める事は出来たものの、タイヤが暖まりきらず12番手で予選を終えた。

決勝セットのパフォーマンスは非常に高かったので、明日の上位進出に期待がかかる。

*予選後、11号車の当該ラップタイム削除のため55号車は11位となった。


土屋圭市アドバイザーのコメント

「予想より気温が低くなって路面状況を見極めるのが難しくて、真一も珍しくミスをしてしまったね。誰もが同じ条件とは言え、車が違うので、それぞれの難しさがある。でも、決勝の車の完成度は高いから大事なのは明日だね」

岡島慎太郎エンジニアのコメント

「タイヤの使用状況を見ながらフリー走行のメニューを消化していましたが、大湯はフリー走行でフレッシュタイヤの比較が出来ていたので、大湯にQ1を行ってもらいました。大湯はQ1でトップタイムを出してくれましたが、狙っていたところまで到達出来ていなかったので、Q2に向けて調整していきましたが、コンディションがQ1より路面温度が下がってしまい、高木さんはウォームアップに時間がかかってしまい、最後うまくまとめきれずにQ2を終えてしまいました。結果としては良くなかったので、我々もコンディション変化に対応しきれなかったですね。明日も路面温度が低くなる事を想定してセットや戦略を考えていきたいです」

高木真一選手のコメント

「気温も下がってしまったし、タイヤに熱が入りにくいのはわかっていたので、しっかり熱を入れてアタック出来ると思っていました。しかし、Aコーナーでオーバーステアが出てしまい、自分の中で抑える感じになってしまい、次のアタックで攻めきれませんでした。自分としては予選のやり方を失敗しました。ゆっくりタイヤを暖めるのではなく、最初から攻めながらタイヤを暖めて行けば良かったのかも知れません。レースのセットは悪くないので、明日は表彰台を狙って行きたいです」

大湯都史樹選手のコメント

「予選についてはウェイトも随分積んでいたので厳しいとは思っていましたけど、車のフィーリングも良く、Q1もトップで走れたので、その時の状態では良いパフォーマンスを出せたと思っています。Q2は高木さんがミスをしたと言ってましたが、Q2前に車をアジャストしたのが裏目に出てしまったのかも知れません。明日の決勝ですが、レースペースは悪くないと思っています。上位に進出出来るように明日に向けて準備して、表彰台に登りたいと思っています」

3位表彰台獲得もマシンセットに課題が

秋の色が濃くなってきた富士スピードウェイは曇り空の下でスタートを待った。気温は21℃、路面温度は29℃というコンディションでスタートが切られた。

スタートドライバーは福住仁嶺。福住は1コーナーで2番手の車に並ばれるが、トップをキープしながら2コーナーをクリアしAコーナーに入っていった。ここで後続車両が接触。カウルがコース上に散乱しセーフティーカーが入る。セーフティーカーが入る直前に福住は2番手にポジションを落としてしまう。

4周目にリスタートが切られた。トップの車両に少し離されてしまうが、福住のペースは良く徐々にトップとの差を詰めていく。10周目あたりから300クラスの周回遅れが出始め、福住は3番手の車に差を詰められてしまうが、何とか抑え、逆にトップの車との差を詰め13周目の1コーナーでトップに立つ。  ここで逃げ切る作戦だったが、8番手までの車のペースは良く、なかなか単独走行が出来ず、福住は苦戦を強いられた。何とかポジションをキープし、26周目に野尻智紀に交代。

ピットインのタイミングやアウトラップでタイヤが暖まる前に後続車に抜かれ野尻は3つポジションを落としてしまうが、タイヤが暖まるにつれペースアップ。34周目の1コーナーでひとつポジションを上げる。次の周回で更にポジションを上げて表彰台圏内を走行。

45周あたりから3番手争いが激しくなり、野尻は一時4番手にポジションを落とすも、すぐに抜き返し3番手での走行を続ける。トップ2台を追い続けたが、2台ともペースが良く、3位でフィニッシュ。今季初の表彰台を獲得した。


鈴木亜久里監督のコメント

「勝ちに行ったんだけど、勝てなかったね。悔しくて仕方ない。今回からお客さんも入場出来るようになったので、モチベーションもとても上がるし、お客さんの前でレースが出来るのはとても幸せだし、そこで絶対勝ちたいと思ってたんだけどね。本当に悔しい。タイヤが暖まるとペースはいいんだけど、冷えている時に他と比較して遅いみたいだから、その辺を調べていかないとね」

ライアン・ディングル エンジニアのコメント

「悔しいですね。2人ともタイヤのウォームアップに時間がかかってしまったので、何が原因なのか分析しないといけませんね」

野尻智紀選手のコメント

「アウトラップでのスピードがとても遅かったので、その辺の原因を探してもらい、ドライビングに対してもそうですが、分析と対策を次戦に向けて行う必要があると思います。レースについては福住選手もバランスに苦しんでいたので、同じような状況で走っていたところもあると思いますが、プッシュするしかなかったので何とか3位にはなれましたが、課題の方が多いので次回はもっと良い結果を出せるように準備していきたいです」

福住仁嶺選手のコメント

「ロングランのセッティングについては変更をしたのですが、まだ掴みきれていない部分が多くて、1周目はタイヤの暖まりも良くなくて2番手に落ちてしまいました。その後、ペースを上げるのが難しくて、タイヤのピックアップもありましたが、何とかトップを取り返す事が出来ました。ポジションを維持するのが精一杯で、引き離すつもりがなかなか苦しい状態でした。野尻さんもタイヤに熱が入るまで時間がかかったと思います。次回は3週間後なので、準備して良い結果を出せるようにしたいです」

ドライバーの力とピットインのタイミングで2位表彰台

スタートを務めた高木真一はクリーンスタートを切ったが、スタート直後に500クラスで接触があり、カウルがコース上に散乱し序盤からセーフティーカーが入る。高木はタイヤを暖めながらリスタートを待った。

コース上がクリーンになり、5周目にリスタートが切られる。高木はポジションをキープして前を追った。徐々にタイヤが暖まりペースも上がり、高木は10周目にひとつポジションを上げ、ポイント圏内の10番手で走行を続ける。高木のペースは良く、12周目に8番手に浮上。しかし、膠着状態が続いたので20周目にルーティンのピットインを行う。

後半は大湯都史樹。25番手でコースに復帰。大湯のペースは良く、40周目までには4番手までポジションを上げる。さらに、大湯は徐々に上位との差を詰めて行く。終盤は2番手争いに加わり、残り2周で2台を一気に抜き去り、2番手にポジションを上げる。このままチェッカーを受け、今季2回目の表彰台を獲得した。


土屋圭市アドバイザーのコメント

「真一が安定したレース運びで大湯につなぎ、勢いのある大湯は一気にポジションを上げて表彰台を獲得して、本当に見応えのあるレースだったね。エンジニアやメカニックも本当に良くやってくれた。お客さんがいる前でこういうレースが出来たのは本当に嬉しいね」

岡島慎太郎エンジニアのコメント

「上位2台のペースが終盤落ちてきてそれを大湯が抜いてくれて2位が獲れました。その2台は2輪交換という戦略を採っていたので、それが故にボク達にもチャンスが生まれたのかな?と思っています。レースのセットアップに関しては狙っていたものと違っていましたが、ドライバーの力とピットインのタイミングが良かったのでポジションを上げる事が出来たと思います。セットに関しては満足していないので、次回に向けて見直して行きたいです」

高木真一選手のコメント

「タイヤの暖まりはいつも良くないのですが、対策していって出ていったら、すぐにセーフティーカーが入っちゃったので、結局そのチャンスが無くなってしまいました。でも、逆に落ち着いてレースが出来て、その後は確実にポジションを上げていく事が出来ました。車のポテンシャルを生かして、何とか8番手くらいまでポジションアップに成功しました。ピット作業もミスなく出来て、大湯も柔らかめのタイヤでアウトラップを速く走り、かなりマージンを稼げたのでは無いかと思います。車両自体は挽回出来るようなスピードはなかったんですが、上手く順位を上げてくれて2位表彰台を得る事が出来ました。今まで良い流れではなかったので、この流れを後半戦で維持出来るようにしてチャンピオン争いに残っていきたいです」

大湯都史樹選手のコメント

「高木さんも良いポジションでボクにつないでくれて、ボクも良いポジションでペースを上げて走る事が出来ました。しかし、終盤はあまりペースも上がらず苦しいレースでしたが、展開的にも前に追いつく事が出来て良いバトルが出来て、2位を獲れたのは良かったです。今回はお客さんも来てくれて、その中でこのようなレースが出来たのは本当に良かったと思いますし、これからもファンの皆さんの前で期待に応えていけるように頑張って行きたいです」

Round.5 / 2020