レポート Report

難しい状況の中、3位で明日の決勝を迎える

前回は優勝も狙えるほど車のバランスも良く、レースでのペースも良かったので、その良さを維持して行きたい。

午前のセッションは車のバランス確認を行ったが、良好なようだ。しかし、朝から天候が不安定で、予選がどのような天候になるかチームは非常にナーバスになっていた。

Q1を走るのは野尻智紀。Q1開始直前は路面も少し濡れた微妙なコンディションだったが、野尻はドライタイヤでアタックに入った。気温は思ったより上がらず、タイヤもなかなか暖まらなかったが、野尻は何とか車のパフォーマンスを引き出し、ギリギリの8番手で福住仁嶺につないだ。

Q2が始まる直前、路面は乾いていたが、開始と同時に霧雨が降り始めてきた。ドライタイヤで出ていった福住だったが、チームは福住を呼び戻し、ウェットに履き替えた。ほぼ全車ピットに戻ってきたのでピットは大渋滞。ピットアウトの際に隣の車両との位置関係で車を出すのに手間取ってしまい、ここで少々タイムロスしてしまった。

しかし、慎重に車を走らせた福住は最初のアタックでトップに立ったが、タイムは他車に次々と更新されてしまう。一周クールダウンして福住は再アタックを行った。最初のアタックからタイムを縮めて3番手で予選を終えた。


鈴木亜久里監督のコメント

「まずまずの予選だったね。コンディションが変わりやすいので、くじ引きを引くような難しさがあったけど、ドライバーもチームも良いくじ引きが出来たんじゃないかな。明日は天候が安定していれば良い結果が期待出来ると思いますので、楽しみにしていて下さい」

ライアン・ディングル エンジニアのコメント

「狙い通りには行けなかったけど、3番手は良いポジションだと思います。難しい状況の中で、仁嶺選手は500クラスでここを走るのは初めてなのに、とても良い走りをしてくれました。野尻選手もウェット、ドライとコンディションが変わる中、Q1を突破してくれたので、ドライバーは2人とも素晴らしい仕事をしてくれたと思います。Q2は皆がタイヤ交換した時にピットでトラフィックに引っかかってしまったので、タイヤを暖める時間が無くなってしまいました。それが無ければもう少しタイヤのウォームアップが出来て良いタイムが出せたと思います。1周、クールダウンのラップを入れて再アタックしましたが、残り時間も少なくて、タイヤのパフォーマンスを最大限引き出す事が出来なかったのがちょっと悔しいです。明日は車もドライバーの調子も良いので楽しみにしています」

野尻智紀選手のコメント

「難しい状況でのQ1でした。他車と違うタイヤをチョイスしたので暖まりが悪かったのですが、何とかQ1をギリギリ突破出来たのでそれは良かったと思っています。Q2は福住選手が素晴らしい走りをしてくれたので3番手というポジションを手に入れる事が出来ました。明日はしっかり戦えるように今から準備していきます」

福住仁嶺選手のコメント

「Q1はとても難しいコンディションだったのに、野尻選手が素晴らしい走りでQ1を突破してくれました。車のパフォーマンスは思った以上に良かったのですが、ボクが1周をきちんとまとめる事が出来ず、悔しい気持ちです。しかし、鈴鹿以外は予選で良い位置からスタート出来ているので、確実にポイントを獲れるように、そして優勝目指してレースをしていきたいです」

決勝セットで10位獲得、明日の決勝に期待

第3戦では接戦を繰り広げ、あと少しで表彰台を狙えたが、今回はリベンジすべくこのサーキットに乗り込んだ。午前のセッションは主に決勝へ向けてのセットを進めた。

今回の300クラスの予選もQ1は2グループに分けられて行われた。#55 ARTA NSX GT3は後のグループで、担当は大湯都史樹だ。朝からコンディションが安定しないツインリンクもてぎだったが、午後も不安定な天候が続いた。

Q1開始時に霧雨が降り始め、ドライタイヤを履いてる大湯は土屋から無線で早めにタイムを出すように指示受けた。しかし、開始直後他車がコースアウトして赤旗中断。路面は思ったより滑りやすいようだ。大湯はピットに戻り、再開をまった。中断の間に雨が徐々に強くなり、チームはウェットタイヤに履き替え、大湯を送り出した。残り8分で再アタック。5番手でQ1を終え、高木真一につないだ。

Q2の走り始めは雨が止んでいたが、開始と同時に霧雨が降り始めていた。ドライで出ていった車両はピットに戻りウェットに変える車両も出てきたなか、ドライタイヤを履いている高木はそのままアタックを続けた。非常にコントロールが難しいなか、高木は渾身のアタックをし10番手で予選を終えた。決勝を見据えて選んだタイヤは、このコンディションでのコントロールは難しかったようだ。


土屋圭市アドバイザーのコメント

「明日を見据えて選んだタイヤだし、予選を無視して決勝のセットをしていたから、この予選のポジションは悪くない。明日は楽しみにいしていて欲しいね」

岡島慎太郎エンジニアのコメント

「去年のデータを元に、アンダーステアを消す方向で車のセットを持ち込み走り始めました。予選は難しいコンディションでしたが、土屋さんや星さんのアドバイスもあり何とかQ1を突破出来たのは良かったです。Q2は上位に行けなかった事はちょっと残念ですが、明日の決勝を考えたうえでのセットだったので、明日のパフォーマンスは高いと思っています」

高木真一選手のコメント

「面白い予選だったと思います。僕たちの戦略は明日を見据えたタイヤチョイスだったので、このポジションは仕方ないのかなと思っています。とてもリスキーなコンディションだったんですが、自分の中では帰ってこれて良かったな、という印象です。非常に危険なコンディションで、残り時間も少なくてレインタイヤに変える事も出来ないし、もちろんタイムアップは狙っていたんだけど、コースに留まる事が最重要でしたし、他にも飛び出している車がいたので、本当に戻ってこられてよかったです。明日は10番手からのスタートですが、うまくレースを運んで上位に行きたいです」

大湯都史樹選手のコメント

「Q1、Q2の両方とも難しいコンディションだったんですけど、決勝へ向けて色々と準備してきたので、この予選でのポジションは仕方ないと思っています。後ろの方からのスタートとなってしまいますが、明日は追い上げます」

原因不明の不具合と他車の追突で完走できず

もてぎは朝から快晴だったが、11時頃から雲が出始めた。雨が心配されたが、レースは曇り空のままスタートが切られた。

スタートドライバーは野尻智紀。決勝のセットの手応えはあったが、タイヤが暖まるまでは苦戦すると読んでいたが、それでもスタートでは3番手からポジションをひとつ落としただけで周回を重ねていった。

野尻は無線では訴えなかったが、車に異変があった事を感じていた。車が真っ直ぐ走らなかったのだ。何とかうまくコントロールすればレースを戦える状況だったので、野尻はレースに集中した。ペースも良さそうだ。

しかし、10周目のV字コーナーで300クラスの車両に接触されてしまう。その300車両はバランスを崩してコースアウトしてしまい、コースを横切ったところで他の500クラスの車両に接触してクラッシュしてしまった。ここでセーフティーカーが入る事になった。14周目にリスタートが切られ、野尻は前車を追った。徐々に300クラスの周回遅れの車両が出始めたのもあったが、野尻のペースが上がらない。前述した異変が徐々に強くなってきたのか、野尻は21周目までに8番手まで順位を落としてしまう。

23周目にルーティンのピットインを行い、福住仁嶺にチェンジ。福住は12番手でコースに復帰したが、無線で車両に異変がある事を訴えてきた。福住は何とか車両を走らせレースを戦っていたが、27周目のヘアピンで他車に追突されてしまい、車は破損してしまった。ピットに戻る事は出来たものの修復は不可能で、残念なリタイヤとなってしまった。次回は相性の良い富士なので、挽回したい。


鈴木亜久里監督のコメント

「この原因不明のトラブルは何なのかきちんと調べて次回までに直したいね」

ライアン・ディングル エンジニアのコメント

「辛いの一言です。車のバランスが悪くなったのは300クラスの車両との接触が原因ではなくて、その前から何か壊れていたと推測されます。ウォームアップの時にドライバーが鈴鹿っぽい車だ、と言ってたので、もしかしたらこの時点で何か壊れていた可能性があります。帰ってから調べてみます。ウォームアップのセクタータイムで良いところをつなぎ合わせれば優勝した車と同じペースで走れていることになるので、ポテンシャルがあると思うので、次回までに原因を調べて挽回したいです」

野尻智紀選手のコメント

「接触の前からストレートが真っ直ぐ走れなくて、何か壊れているのかな?と感じました。レースも始まったばかりだし、止めるほどのレベルでは無かったのでピットに伝えずレースを続けました。しかし、真っ直ぐ走らないとブレーキも不安定になりますし、300クラスの車両の処理も難しくなってしまうので、そういった事もあってペースが上がりませんでした。次回までに原因を解明して、次までに気持ちを切り替え、強い気持ちで取り組んで行きたいですね」

福住仁嶺選手のコメント

「今回も完走出来ずポイントを獲れませんでした。野尻さんのスティントから車が真っ直ぐ走らない症状があり、トラブルなのか何なのかまだ原因は分かりませんが、ブレーキの時もとても不安定になってしまったので、それでなかなかペースを上げるのが難しかったです。そんな中でも完走してポイントを獲得出来るように最後まで走り切ろうと思っていたのですが、後ろから他の車両の接触があって、走り続ける事が出来ませんでした。落ち込んでいても仕方ないので、原因を探して次に挑みたいです」

ピットで手間取り上位行けずもポイントは獲得

昨日から決勝に向けたセットを進めていたが、上位に進出するにはある条件が必要だった。硬めのタイヤをチョイスしたので、気温が高くなる事をチームは望んでいた。日差しは強いものの、気温は30℃を超えず、更に昼頃までに雲が広がり、望んだコンディションにはならなかった。しかし、チームはそのような事も想定してタイヤ無交換作戦も視野に入れていた。

スタートは高木真一。高木はタイヤが暖まるまでは厳しい戦いになるとレース前に語っていたが、スタートで2つポジションを落として、12番手でレースを続けた。徐々にタイヤも暖まってきた9周あたりで10番手までポジションを戻したが、V字コーナーで300車両と500車両の接触があり、セーフティーカーが導入される。

13周目にリスタートが切られ、高木は次の周にひとつポジションを上げる事に成功。9番手で走行を続け、23周目に大湯都史樹に後半を託した。ここで順位を大きく上げる為にチームは予定していたタイヤ無交換作戦を実行した。しかし、このタイミングでピットに入る車両が多く、ノーズから斜めにピットへ車を止める必要があった。チームはこのような事も想定して斜め止めでのピット作業も練習していたが、車両を出す時に手間取ってしまい、ここで大きくタイムロスしてしまった。

大湯は17番手でコースに復帰。その後、大湯はハイペースで徐々に順位を上げていき、40周目までにポイント圏内の9番手までポジションアップ。42周目に他車の接触があり、ここで2回目のセーフティーカーが導入される。大湯は無線でタイヤとブレーキが徐々に厳しくなってきた事を訴えてきた。47周目にリスタートが切られたが、セーフティーカー中にタイヤとブレーキを十分に冷やした大湯のペースはトップと遜色ないタイムだった。

しかし、徐々にタイヤとブレーキが厳しくなり、わずかではあるがペースが落ちてきた。55周目には10番手まで順位を落としてしまうが、前車の脱落もあり、最後まで車を持たせた大湯は8位でチェッカーフラッグを受けた。


*決勝後、56号車にピット作業違反で30秒加算されたために55号車は7位となった。


土屋圭市アドバイザーのコメント

「ピット作業で時間がかかってしまったのは残念だけど、全体的に見て良く戦えたんじゃないかな。優勝したLEONと同じタイヤだったし、ピットインの前はLEONの前を走っていたから、ミスが無ければどうなっていたのか想像すると悔しいけど、それもレース。次回挽回するよ」

岡島慎太郎エンジニアのコメント

「ウォームアップはバランスも良くて、レースに向けてアジャストする必要も無かったのですが、レースではブレーキが効かない問題が出てしまって、レースペース的に見ると序盤は良かったのですが、タイヤ無交換作戦で後半は同じ作戦を採ったチームと比べても良くなかったので、見直していく必要があります。今回はピットのタイミングを誤ったのが良くなかったのですが、後半は大湯が頑張ってくれて何とかポイントを獲れたのは良かったです。ドライバーに感謝です」

高木真一選手のコメント

「最初のスティントで粘って頑張って、何とかタイヤ無交換作戦が出来る状況になりました。優勝したLEONはいつもここが強いですし、同じタイヤを履いて、同じ作戦だったので、彼らと同じポジションに行ければいいな、と思っていました。ピット作業で前に出る作戦だったんですけど、作業に時間がかかってしまい、下位へ落ちてしまいました。ポイントも獲れなくなっちゃうかな?と思ってたんですけど、大湯がタイヤもブレーキも厳しい中、何とか最後まで走ってくれて、ポイントも獲れました。初めてここで無交換を行いましたが、大湯がしっかり走ってくれてデータも取る事が出来ました。ペースも良かったので、上位でフィニッシュ出来るポテンシャルがある事も確認出来ました。次回は得意な富士で挽回したいです。今日は頑張りました!」

大湯都史樹選手のコメント

「無交換の作戦に出たんですけど、ピット作業に時間がかかってしまい、前に出らず悔しかったです。優勝したLEONと同じタイヤ、同じ作戦だったんですけど、少しペースも遅かったので、改善していかなければなりません。ブレーキが厳しいサーキットでブレーキの使い方も学べたので次回に生かしたいですし、次の富士は速さがあるので、挽回したいです」

Round.4 / 2020