レポート Report

データ無くセットアップに苦戦し下位に沈む

NSX-GTがFR車両になってから初めての鈴鹿だ。セッティングのデータも無い、手探り状態からの走行となった。過去の経験やブリヂストンの協力のもと、セッティングを進めていった。

第1戦、2戦の予選で好調だったARTA NSX-GTは車両の接地感が無く、予選へ向けて苦戦しており、午前のセッションを11番手で終えた。

予選はコンディションの変化を見込んだセットに変更した。Q1のアタッカーは福住仁嶺。福住はセッションの残り時間7分でコースイン。タイヤを暖めながらセット変更による操縦性を確認したが、思ったよりその向上を感じる事が出来なかった。

しかし、何とかQ1を突破し野尻智紀に繋げる為、渾身の力を振り絞ってアタックに入っていった。徐々にタイムアップするものの、Q1を突破するのは難しく、明日は14番手というポジションからのスタートとなってしまった。


鈴木亜久里監督のコメント

「とても厳しい予選になってしまったね。第1戦と2戦の予選が良かっただけに、悔しいというよりショックだね。明日はひとつでもポジションを上げられるようにレースのセットの確認と、戦略を組みたいね」

ライアン・ディングル エンジニアのコメント

「走った事が無いサーキットだったので、過去のデータを参考にして車を持ち込みました。セットアップは富士から鈴鹿に合わせる為に大幅に変えましたが、ドライバーフィーリングもタイムとしてもあまり良くなかったので、予選に向けて大きく変えました。しかし、それが上手くいきませんでした。明日へ向けてはまだデータを見ていないので何とも言えませんが、きちんと解析してポジションを上げられるようにしっかり準備したいです」

野尻智紀選手のコメント

「予選の結果は残念ではありますが、他の車両とこれだけパフォーマンスの差があるので、根本的な問題を見つけられていないのかも知れません。第2戦ではポールも獲れていますが、レースではパフォーマンスが落ちてしまうような事もあったので明日に向けてその問題を見つけられるようにしたいです」

福住仁嶺選手のコメント

「フリー走行の序盤からフィーリングが良く無かったので色々と改善を試みました。車は徐々に良くなってきているのですが、予選では路面変化の事を考えるともっとタイムを出さなければならないと思いました。また、自分自身も上手く乗れていなかったので悔しいですが、これもひとつの経験なので、明日までに改善出来るようにチームと準備していきます」

高木がギリギリでQ1を突破、大湯が見事なアタックでフロントロー獲得

第2戦では今季初の表彰台に乗り、勢いが増しているARTA NSX GT3。開幕前の鈴鹿のテストでは好結果を残しているので、ここで表彰台の一番上を目指したい。

午前のセッションでは予選のセットの確認も取れ、トップタイムをマーク。残り時間はレースを見据えたロングランのセットアップに集中した。そのセットも非常に良さそうだ。

迎える予選は気温が上昇する事を考慮し、そのコンディションに合わせたセット変更を行った。しかし、このセットが上手く機能せず、Q1を担当した高木真一は思わぬ苦戦を強いられてしまった。

1発のタイムに自信を持っていたチームだったが、Q1で高木がなかなかタイムを出せずにいた事に焦りを感じていた。今回もGT300の予選は2グループに分けられており、8番手までがQ2へ進出出来る。

Q1の残り時間わずかなところで高木は何とかギリギリの8番手のタイムをマークし、Q2進出を果たした。予選を終えた高木は無線で思わず、「オレ、結構ギリギリまで行ったよ〜」とQ1を突破した安堵をチームに伝え、大湯都史樹にQ2を委ねた。

車のフィーリングが午前と変わっていたので高木は症状をチームに伝え、Q2までにアジャストしていった。

大湯は少々ナーバスになっていたが、走り出してからの車のフィーリングが良かったせいか、徐々にタイムアップしていった。好タイムを叩き出し、3番手でQ2を終えたが、トップの車がペナルティーでタイムが抹消となってしまい、予選を2位で終え、明日はフロントローからのスタートとなった。


土屋圭市アドバイザーのコメント

「Q1はハラハラしたけど、さすが真一だね。Q2までに車を改善してくれたチームに感謝。大湯も見事なアタックだった。事前に行われたテストは好調だったけど、気を抜く事は出来ないね。明日はしっかり戦って良い結果を出したいね」

岡島慎太郎エンジニアのコメント

「ラッキーもあってフロントローを獲れて、良いポジションからスタート出来るのは良かったです。朝のパフォーマンスは良かったのですが、Q1へ向けてコンディション変化のアジャストが足りなくて、高木さんに苦労させてしまいました。しかし、高木さんのフィードバックもあって、Q2の大湯に対しては改善出来たのと大湯のドライビングに助けられてフロントローを獲れたと思います。鈴鹿でオーバーテイクは難しいので、フロントローからスタート出来るので有利に進められると思っています」

高木真一選手のコメント

「午前と比べてそれほどバランスも変わっていなかったんですが、予想より気温が上がってアンダーステアが強くなってしまいました。車のセットもアンダー方向へ持っていったのですが、それがボクのアタックの時に曲がらなくなってしまったので、大湯の時はそれを元に戻して、ストレートも伸びるセットに変更したら狙い通りでした。と言うより思ったより良いタイムで戻ってきてくれたので嬉しいです」

大湯都史樹選手のコメント

「ポールを獲るという気持ちで鈴鹿に入ったのですが、実際に走ってみるとそれがなかなか難しい事に気付きました。午前のセッションではトップタイムではありましたが、高木さんがQ1でギリギリだった事もありますし、結構難しい予選だった事は間違いないです。そんな状況でもフロントローに並べた事はホッとしています。明日は不安要素がいくつかあるので、今日中にチームと相談して改善していきたいです」

後方から上位グループまで追い上げるも接触でリタイア

昨日、不本意な予選を終えたARTA NSX-GTだが、チームは操縦性を改善すべく入念に対策を考えた。ウォームアップではその確認を行った。数日前は雨の予報もあったが、鈴鹿サーキットは朝から快晴だ。ドライコンディションでのセットを微調整しスタートを待った。

スタートは今季初めて野尻智紀が担う。後方からの追い上げに期待したい。野尻はポジションをキープし1コーナーへ入っていった。その後、300クラスの車両がダンロップコーナーでコースアウトしてしまい早速セーフティカーが入る。車両の回収が完了し、5周目にリスタートが切られた。

前車がリスタート直後にコースアウトし、野尻はひとつ順位を上げる。野尻のラップタイムはトップと大差なく、順調に周回を重ねる。セットアップの方向性は良さそうだ。

14周目に12番手に順位を上げ、17周目、バックストレート上に他車のバンパーが落ちてしまい、その回収の為に2回目のセーフティカーが導入された。このタイミングで野尻は11番手まで順位を上げる。ポイント圏内まであと少しだ。

回収が済んだ22周目にリスタートが切られたが、同時に野尻はルーティンのピットイン。ミスなくピット作業を終え、福住仁嶺に後半を託した。

他車のピットインもあったが、このピットストップで数台を抜き、福住は27周目に4番手まで順位を上げた。28周目に差し掛かったところで300クラスの車両がS字でコースアウト。3回目のセーフティカーが導入される。

33周目にリスタートが切られ、福住はトップグループに食らいついていく。ペースは非常に良かったが、36周目のヘアピンで前車に接触してしまう。パーツが破損してしまった為、福住はピットへ向かったが、修復かなわず残念なリタイヤとなってしまった。

しかし、昨日の不調を克服し、トップグループでレースを展開出来た事は大きな収穫だ。次回のレースに期待したい。


鈴木亜久里監督のコメント

「レースペースも良かったので昨日からは大きな進歩だったね。結果は残念だけど仕方ないね。仁嶺にとっては良い経験になったと思う。次回、勝てるように準備していきたいです」

ライアン・ディングル エンジニアのコメント

「昨晩から3人のエンジニアで色々考えて、何とかペースもよくなり良い結果に繋げられるかな、と思っていました。昨日は調子が悪かったので、短い時間で車のセットアップをリカバリー出来て、ここまでポジションアップ出来たのは良かったと思っています。また、今回のレースはセーフティカーが何度も入ったけど、その都度戦略を上手く組めたのも良かったですし、メカニックさんも凄く頑張ってくれました。今回のアクシデントはレースなので仕方ないと思いますし、仁嶺にとっては悔しい結果だったと思いますけど、良い経験になったと思います。次回は今回の経験を生かし、持ち込みから良い走りが出来るように準備します」

野尻智紀選手のコメント

「結果としては残念なものですが、個人的に思うのは前戦で自分が作ってしまった悪い流れを上手く断ち切れなかったというのもあったと思います。仁嶺だけではなく、チーム全体として何が足りないのか反省しながら次につなげていかなければならないと思いますし、仁嶺にああいったミスが出てしまいましたが、ライバルチームの方々にご迷惑をおかけしてしまったので、まずはそこをお詫びしたいです。また、そういったミスを招きやすい車だったかも知れませんし、そういったミスにつながってしまった原因も突き詰めて次回につなげたいと思います」

福住仁嶺選手のコメント

「レースペースは良くなりましたが、周りの車両のウェイトハンディなどを考えるとまだまだ進歩しなければならないと思っています。本当であれば勝たなければいけないぐらいのレースだったと思うのですが、予選から調子が悪く、何とか挽回したいと思っていました。メカニックもエンジニアもレースに向けて色々と考えてくれてチャンスを作ってくれたので、自分も皆に対して良い走りをして返したいと思っていました。今回は相手の動きと自分の動きが合わなくて追突してしまいました。チームの皆さんや追突してしまった相手チームには申し訳ないと思っていますが、次回のレースに向けて勝てるように準備していきたいです」

マシンは決まっていたが、ルーキー大湯にとっては勉強させられたレースに

第2戦に続き、今季2回目となったフロントローからのスタート。前回は優勝も狙える手応えがあったが、予想以上にJAF-GT勢の速さが目立ったレースだった。今回も勢力図は変わらないだろうが、一矢を報いたい。

スタートドライバーは高木真一。ポジションをキープしながら半周を過ぎたところで後方でコースアウトする車両があり、序盤からセーフティカーが導入される。車両の回収が終わり、5周目にリスタートが切られた。

順位をキープしながら周回を重ねるが、10周目あたりから徐々にブレーキが厳しくなってきたと高木から無線が入る。トップとの差が徐々に開き始めてしまう。16周目に500クラスの車両のバンパーがコース上に落ちてしまった為、2回目のセーフティカーが導入される。高木はブレーキを冷やしながらリスタートを待った。

回収が終わった21周目にリスタートが切られたが、トップの車両がピットインし、トップで高木は周回を重ねる。セーフティカー導入中にクールダウン出来たのか、高木は無線でバランスの良さを伝えてきた。

高木は24周目にルーティンのピットインを行い、大湯都史樹に代わった。

ピット作業はミスなく終わり、大湯は14番手でコースに復帰。27周目までに11番手までポジションを回復するが、300クラスの車両がS字コーナーでコースアウトしてしまったため3回目のセーフティカーが導入される。

32周目にリスタートが切られたが、このタイミングでルーティンのピットインを行うチームもあり、大湯は9番手までポジションアップ。更にシケインで1台がコースアウトし、次の1コーナーでもう1台抜き、大湯は順調にポジションを上げていき、トップグループに追いつき3番手で周回を重ねる。

テールトゥノーズの激しいレースを展開していたが、残り3周を切ったデグナーで大湯は前車と接触してしまう。前部を破損してしまい、走行を続ける事が出来ずレースを終えた。表彰台も狙えるポジションでレースを展開していただけに残念な結果になってしまったが、次回につながるレースだった。


土屋圭市アドバイザーのコメント

「前を走っていたのは百戦錬磨のJPだから簡単には抜かせてくれないよね。大湯には良い経験になったと思う。車のバランスは良さそうなので、次回に気持ちを切り替えています」

岡島慎太郎エンジニアのコメント

「良い位置からスタート出来ましたし、高木さんがポジションをキープしてくれたので、2番手のままピットイン出来ました。セーフティカーの関係や他の車両のアウトラップが速くて少し順位を落としましたが、結果的に2スティント目はポジションを少し下げてのスタートとなってしまいました。でも大湯がオーバーテイクしてくれて上位まで行けたと思います。レースの展開としてはそこまでは良かったです。車のパフォーマンスとしては優勝する力を持っていたので結果は悔しいですが、また次回頑張ります」

高木真一選手のコメント

「プリウスには付いていけませんでしたが、レースのセットは狙い通りにいきました。序盤GT-Rのペースの方が速そうでしたが、ガソリンが軽くなるにつれてこちらのペースの方が良くなりました。これも予定通りだったので、良い展開でレースを進められました。大湯もペースが良かったのですが、もう少し我慢すればよかったのかな?と思いました。これもレースですし、こういうレースもあるという勉強になったのではないかと思います。大湯の速さはピカイチなので、次回のレースでまた頑張りたいです」

大湯都史樹選手のコメント

「トップ2台のGT-Rよりペースは良かったのですが、前に出られてしまうとダウンフォースが減ってしまいなかなか抜けなかったです。最後2位までは届きそうだったのですが、JP選手の巧みな駆引きで抜くのが困難だったのと、ボクも無理してしまったところがありました。反省が多いレースになってしまいました」

Round.3 / 2020