レポート Report

タイヤチョイスのミスもあり、上げ幅少なく後方に沈む

第2戦からインターバルが3週間ほどで第3戦鈴鹿大会を迎えた。前回優勝を果たした#8 ARTA NSX-GTだが、サクセスウェイトが少し重くなったものの、今朝のフリー走行ではその重さを感じさせないパフォーマンスを発揮し、午後の予選に期待が高まった。

雲がやや多いものの、天候は晴れで、気温は徐々に高くなってきた。

Q1を担当するのは福住仁嶺選手。ほとんどの車両がいつもより早くコースインしたので、福住も早めにコースイン。タイヤを暖めてアタックに入っていった。午前より車のバランスも良さそうだったが、周りの車両のタイムの上り幅が多く13番手で予選を終え、Q2進出はならなかった。

非常に悔しい結果となったが、明日は少しでも多くポイントを獲得出来るように準備をしていきたい。


鈴木亜久里監督のコメント

「難しい予選だったね。午前中は悪く無かったからQ1突破は大丈夫だと思っていたんだけど、タイヤチョイスをミスってしまい、ドライバーには悪いことをしてしまった。しかし、明日は諦めず、最後まで目が離せないようなレースを展開したいと思いますので、注目していて下さい」

ライアン・ディングル エンジニアのコメント

「今回の持ち込みセットは方向性を変えて持ってきました。クリーンのアタックは出来なかったものの、フィーリング的には悪くありませんでした。しかし、それを信じすぎて予選に入っていってしまい、周りと比較すると良くありませんでした。タイム差の0.3-0.4秒をどうやって取り返すかはアイデアがありますので、次の鈴鹿に生きると思います。明日の決勝ですが、チャンピオンを目指すチームであれば、後方からのスタートであっても確実にポイントを獲ると思いますので、気持ちを切り替えて明日のプランとセットアップを考えたいと思います」

野尻智紀選手のコメント

「残念な結果であることは間違いないのですが、明日に向けて出来る事はまだ沢山ありますし、鈴鹿はもう1大会残されていますので、それにつながるような決勝日を送りたいと思います。このポジションから巻き返せるように戦略、セットアップの準備をしていきたいと思います」

福住仁嶺選手のコメント

「フリー走行からの流れは悪くなくて、自分たちのフィーリングではQ2に行ける感触はありました。しかし、いざ予選が始まってみると周りのタイムの上り幅が大きく、僕たちが上げられなかったのでQ1を敗退してしまいました。チームには申し訳なく思っています。明日は最後まで何があるかわからないので、しっかりと戦ってポイントを獲得したいと思っています」

クルマの跳ねを抑えきれず明日は後方から

午前のフリー走行は常に6番手以内のポジションでタイムも悪く無い。しかし、走行中は車が少々跳ねるように見えたのが気になったが、バランスは悪く無さそうだ。

Q1のアタックは武藤英紀選手が担当。今回もQ1は2組に分けられ、#55 ARTA NSX GT3はBグループでの走行だ。気温が午前より上がったものの、武藤選手は入念にタイヤに熱を入れてアタックに入って行った。最初のアタックはQ1を突破出来るタイムではなかったので、再度アタックを行った。

武藤は少し頑張りすぎたのか、130Rでコントロールを失い3回転のスピンを喫してしまう。幸い、車やドライバーにダメージは全くなかったが、タイムを更新する事は出来ずBグループの9位となり、Q1通過はならなかった。

明日は後方からのスタートとなるが、追い上げてポイントを獲得したい。


土屋圭市アドバイザーのコメント

「激しいスピンをしてしまいましたが、ドライバーや車が何事もなく、セッションを止める事もなかったのは良かったですが、午前が良かっただけにQ1を突破出来なかったのは残念。でも、気持ちを切り替えて明日はポイントを獲得出来るように頑張ります」

岡島慎太郎エンジニアのコメント

「午前中は結構ペースも良くて、持ち込んだセットは狙った方向性に持っていけました。これまでの2戦に比べるとパフォーマンスの高い状態で走り出せたと思っています。予選に向けて少しアジャストして、Q1に臨みバランスも良かったのですが、車の跳ねの問題なども少しあって、武藤選手にもスピンをさせるような事になっていたかも知れません。この後、データを見て分析して直したいと思います。決勝のセットも見直して挽回出来るように頑張りたいです」

武藤英紀選手のコメント

「予選の走り出しから車のバランスは非常に良かったです。もうちょっとタイムが出ている雰囲気はありましたが、周りと比べてタイムアップが出来ていませんでした。もう1周アタック出来るチャンスがあったので行ったのですが、130Rで頑張りすぎてしまいスピードを上げて入って行ったら車が少し跳ねてしまってスピンしてしまいました。あそこまで無理しなくてもQ1突破出来るタイムは出せたという印象がありました。しかし、周りのタイムの上り幅が大きかったなぁ、と感じました。明日ですが、タイヤをスピンで傷めてしまったので、交換する場合はピットスタートになってしまうかも知れません。何とか後方からしっかり走り切りたいと思います」

木村偉織選手のコメント

「公式練習でニュータイヤのアタックで予選のタイヤチョイスを担当させてもらいました。タイムもフィーリングも悪く無かったのですが、予想より周りのタイムの上げ幅が大きかったと思いました。僕たちに足りない部分があると思いましたが、そんな中でも武藤さんが懸命にQ1突破を目指して走って下さったのですが、届きませんでした。しかし、開幕から徐々にチームの結束力とドライビングが確実に良い方向へ行っているので、明日の決勝では結果はもちろん重要ですが、しっかりと最後まで走り切りたいと思っています」

暑さの中、予選13番手から7位フィニッシュ。

まだ5月なのに真夏を思わせるような暑さで第3戦の決勝を迎えた。フォーメーション2周のあと、スタートが切られた。スタートドライバーは福住仁嶺選手だ。クリーンなスタートを切った福住は1周目を12番手でストレートを通過。しかし、500クラスの車両が止まってしまったため、2周目からFCYが導入される。

ストップ車両の回収が完了し、4周目に差し掛かったところで再スタートが切られる。 ここで、前車がフォーメーションラップ中に追い越しをしてしまい、ドライブスルーペナルティを受け、6周目には11番手にポジションアップ。7周目から300クラスのラップダウン車両が現れる。

11周目に差し掛かる前のシケインで500クラスと300クラスの車両が接触してしまい、車両回収のためにセーフティーカーが導入される。14周目にリスタートが切られ、福住は順調に周回を重ね、18周目にピットイン。野尻智紀選手に後半を託した。

野尻は12番手でコースに復帰。序盤からペースは良く、26周目には7番手まで、前車のピットインもあり33周目には6番手までポジションアップ。

38周目にヘアピンで500クラスと300クラスの接触があり、FCYが導入されるが、車両回収のためセーフティーカーに切り替えられた。43周目にリスタート。終盤野尻のペースは良かったが後方から追い上げてきた車両に最終ラップで抜かれてしまい、7位でチェッカーを受けた。


鈴木亜久里監督のコメント

「後方からここまでよく順位を上げてくれたね。ドライバー、エンジニア、メカニックの皆に感謝しています。
ドライビング、ピットイン、タイヤなど素晴らしく嚙み合っていたけど、まだ足りない部分があるので、次回は改善して挑めるように準備していきます」

ライアン・ディングル エンジニアのコメント

「昨日からロングのセットアップをドライバーとも沢山コミュニケーションをとってセット、戦略を決めました。ウォームアップでセットの確認も取れました。自信はなかったのですが、福住選手の走りもタイヤに関するフィードバックも良くて、後半に向けてのタイヤチョイスの参考になりました。野尻選手のアウトラップの際のプッシュが素晴らしかったです。そのおかげで11番手から6番手までポジションを上げる事が出来ました。途中で前の車に引っかかってしまい、ここでタイヤを消耗してしまいました。これもあって最終ラップの最終コーナーで7位になってしまいました。悔しいですが、予選のポジションから考えればよく順位を上げられたと思います。次回のレースは450kmのレースなので、しっかり準備して良い結果を出したいです」

野尻智紀選手のコメント

「昨日の予選で後ろに沈んでしまったので、そこから考えればポジションを挽回出来たと思っています。ただ、もうちょっと予選で前に行かないといけないと思いました。あとは福住選手がセカンドに向けてタイヤを選んでくれて、その選択が非常に良くて、僕のスティントはアウトラップからプッシュしていったらトラックコンディションがかなり上がったので、今日はかなり福住選手とチームのファインプレーに助けられたと思います。次は良い順位で終われるように頑張ります」

福住仁嶺選手のコメント

「ボクはロングランについてはフリー走行から走っていなかったので、セットやタイヤを理解していないところですぐにドライビングを合わせなければいけない状況でした。野尻さんとライアンさんが車のセットを考えてアジャストしてくれたので、バランスとしては悪くありませんでした。そのあとは300車両もいる中でダウンフォースも抜けてしまい、タイヤが良い状態の時になかなかオーバーテイク出来ない状況が続き、順位の入れ替わりがありませんでした。しかし、その後、周りのトラブルや接触などもあり、順位を上げる事が出来ましたし、ピットインのタイミングも良く、野尻さんもアウトラップ、レース中のラップも戦略も良かったので結果的には7位で終える事が出来ました。次のレースにつなげる事が出来たレースだったと思います」

今季初めての完走で貴重な1ポイントをゲット

レース前のウォーミングアップ走行で、スタートドライバーを務める武藤英紀選手がコースに出ようとしたところ、ピットロード出口付近で突然エンジンがストールしてしまう。武藤はメインスイッチを入れなおし、何とか再スタートを切る事が出来た。

フォーメーション2周のあと、スタートが切られた。武藤はひとつポジションを上げ、15番手で1周目のストレートを通過。しかし、ここでFCYが導入される。500クラスの車両がスローダウン、ストップしてしまったためだ。

車両の回収が完了し、3周目に再スタートが切られた。

6周目から300クラスが500クラスのラップダウンになりはじめ、この混戦を利用して武藤は7周目の130R手前でひとつ順位を上げる事に成功。

次の周回のシケインで500クラスと300クラスの車両が接触し、セーフティーカーが導入される。この混乱で武藤は13番手に上がる。

13周目にリスタートが切られ、武藤はここで車両の振動があることを無線で訴えてきたが、ひとつ順位を上げて12番手に浮上。振動は残るものの何とか走行を続け、次のメインストレートで11番手にポジションを上げる事に成功。武藤のペースは良い。

武藤は18周目にピットイン、木村偉織選手に交代し20番手でコースに復帰する。

木村のペースはよく、29周目までに15番手にポジションアップ。35周目に500クラスと300クラス車両の接触があり、FCYが導入されたが、車両回収のためにセーフティーカーに切り替えられた。この時点で木村は11番手。40周目にリスタートが切られたが、ポジションをひとつ落としてしまう。前車にペナルティがあり、ポジションを11番手に挽回。その後は良いペースで周回を重ね終盤に入っていった。木村は最終ラップの混戦で隙を狙い前に出て、何とか1ポイントを獲得する事に成功した。


土屋圭市アドバイザーのコメント

「16番手からスタートして10位でチェッカーを受けてポイントを獲得する事が出来ました。今季初の完走でした。今までもパフォーマンスは高かったのですが、最後まで走り切る事が出来ていなかったので、きちんと最後まで走り切る事が出来ればポイントを獲る事が出来ると感じました。まずは予選が課題なので、次回は予選の前の方のポジション取って、良いレース運びをしていきたいです」

岡島慎太郎エンジニアのコメント

「ロングランが土曜のフリーで良くなかったのですが、幸い鈴鹿は事前にテストが出来ていたので、そのデータを参考にすることが出来ました。ウォームアップはバランスを確認しきれなかったのですが、オーバーステアが出てしまうところがあって、データ分析してレースに向けてアジャストしたら、それが当たって何とか良いペースを保つ事が出来ました。途中ペースが上がらないところもありましたが、次回の鈴鹿に向けて分析したいと思います。最後は偉織がドタバタで抜いてきてくれたので、ようやく1ポイントを獲る事が出来たので、良いレースが出来たと思います。次回の富士も頑張ります」

武藤英紀選手のコメント

「昨日の予選は自分のミスもあって、16番手スタートとなってしまいました。レースでは何とか追い上げようと強い意志を持って挑みました。木村選手につなぐところまでしっかり走らなければならないので、プッシュするところと引くところは上手く出来たと思っています。フリー走行から決勝に向けてセット変更をしたのですが、決勝は非常にバランスが良かったですね。後半の木村選手も安定した走りでようやくポイントも獲れてすごく大きなステップになったと思います。ここからシーズンを巻き返して行きたいと思います」

木村偉織選手のコメント

「この初めての高気温下の中で、走り切る事が出来ました。ウォームアップでは走る事が出来なかったので、レース前は暑さに対する不安がありました。タイヤは序盤グリップが良かったので、攻めていくことが出来ました。また1台1台落ち着いて抜いていくことが出来ました。相手のどこが遅くて、どこにチャンスがあるかをしっかり見極めて抜くことが出来たのではないかと思っています。まだ勝負に行った時の粗さは自分でもまだあると思っていますが、そこはひとつ課題として持ち帰り、それ以外は、終盤グリップダウンもあり、SC後に1台抜かれてしまいましたが、最後まで諦めずに走り最終ラップの最終コーナーで抜き返し何とか1ポイントを獲る事が出来ました。次も落ち着いてしっかり戦って行きたいと思います」

Round.3 / 2022