レポート Report

マシン完璧では無かったが今季3回目のポールポジション

前回のSUGOではミスもあり、ポールポジションの優位性を生かす事が出来ず涙を飲んだ。チームはこの悔しさを持って富士に乗り込んだ。

午前のセッションは野尻智紀が車のセット確認を進めながら走行を重ねた。車が跳ねる症状が出てしまい、なかなか思うようなタイムが出なかったが、車のバランスは相変わらず良さそうだ。

迎えた予選はQ1を小林崇志がアタック。タイヤに熱が入りにくく、納得のいくタイムを出す事は出来なかったが、何とかQ1を7番手で突破。

チームはQ2までに車を微調整して野尻に託した。野尻は前後の間合いを取りながら、アタックに入っていった。周囲がタイムを更新していくなか、野尻は徐々にタイムアップしていき、予選終了間際にトップタイムをマークし、今季3回目のポールポジションを決めた。


鈴木亜久里監督のコメント

「調子は悪くなかったけど、実際どのくらいのポジションまで行くことが出来るか分からなかった。だけど、小林も野尻も車のポテンシャルを100%引き出してくれたと思っている。明日はミスを無くして、最後までキッチリ走る事が重要。何とか結果を出したいね」

星学文エンジニアのコメント

「今日はSUGOからパフォーマンスをアップしようと思って車を持ち込みました。ネガティブな部分もありましたが、Rd.2(富士)の状態も良かったので、ポジティブな部分をミックスしながら車を作りました。予選に向けて微調整が必要だったのですが、ベースが良かったのでタイヤとのマッチングを合わせれば良くなると思っていました。しかし、まさかポールポジションを獲る事が出来るとは思っていませんでした。明日は天候が読めない部分もありますが、このポールの位置を生かして優勝を目指していきたいと思います」

野尻智紀選手のコメント

「2回連続ポールを獲る事はなかなか無い事ではありますが、前回ポールを獲りながら表彰台に届かなかったので、今回はきっちりと結果を出したいという思いが今は強いです。今朝の走行では納得のいく車のコンディションではありませんでしたが、予選までにチームは車をアジャストしてくれたので、思い切ってアタック出来ました。明日はもちろん優勝を目指して走りますが、ミスの無いようにきっちり走りきりたいです」

小林崇志選手のコメント

「午前のセッションでまとめきれない部分があったのですが、野尻ならQ2でトップを獲れるタイムを出せると思っていたので、セット変更はせずタイヤプレッシャーだけ調整して出ていきました。タイヤの暖まり方があまり良くなくて、Q2に向けてタイヤの状態をチームに上手く伝える事が出来たと思っています。今季3回目のポールですが、明日は3度目の正直で何とか勝ちたいと思っています」

出場も危ぶまれた今回、メカニックとドライバーの頑張りでポールポジション

第4戦SUGOでは後方から追い上げて優勝のチャンスもあったが、他車との接触により残念なリタイヤとなってしまった。車は見た目よりダメージが大きく、この富士に車が走れる状態になるかギリギリのところだった。メカニックはSUGOが終わってから不眠不休で車を修復し、何とかこの富士に持ち込む事が出来た。

午前のセッションは持ち込みのセットを確認しながら、セッティングを進めていった。修復した車のバランスは良く、クラッシュによるダメージの影響は殆ど無かったようだ。高木真一がセットの確認を行った後に、ショーン・ウォーキンショーが、ニュータイヤで予選のシミュレーションの走行に入った。しかし、アタックに入った周回で他車が1コーナーでコースアウト。赤旗になってしまった。続くサーキットサファリも走行時間が短縮され、予選のシミュレーションが出来ないままショーンがQ1のアタックを任される事になった。

ショーンはタイヤに入念に熱を入れ、セッション後半にタイムアタックを行った。何とか11番手のタイムでQ1を突破した。ショーンはQ1での車の状態をチームと高木に伝え、Q2は車をアジャストして高木がアタックに入っていった。高木はトップタイムを記録したが、他車がタイムアップする可能性があったので、更にもう1周アタックし、ポールポジションを確定させた。


土屋圭市アドバイザーのコメント

「ショーンも真一も最高の仕事をしてくれたね。また、メカニックもこの富士に間に合うように車を直してくれた事に感謝したい。明日はこの勢いを保って優勝したいね」

安藤博之エンジニアのコメント

「元々Q1はショーンに行ってもらおうと思っていて、午前のセッションでタイムを出しておきたかったのですが、赤旗やサファリの時間短縮でシミュレーションが出来ませんでした。しかし、Rd.2でショーンは良いタイムで走れているのでそのままQ1のアタックを任せました。ショーンは微妙な車の変化を察知してチームと高木さんに伝えてくれて、それが非常にQ2に生きました。それに応えるように高木さんはキッチリタイムを出して何とかポールが獲れました。明日は優勝出来るように準備をしていきたいです」

高木真一選手のコメント

「前回のSUGOで車が壊れてしまい、富士のレースの出場も危ぶまれる状態でした。しかし、メカニックが本当に頑張って車を直してくれたので、何とか結果を出さなければという気持ちが強かったです。そういう事があったのでポールを獲ってピットに戻って来た時に皆んなの顔を見たら涙が溢れてきてしまいました。午前の走行ではショーンが予選のシミュレーションを行おうと思ったら、赤旗が出てしまい、オマケにサーキットサファリも時間短縮でショーンはニュータイヤでアタックをする事が出来ませんでした。そんな状態だったのに、Q1を突破したショーンは凄かったと思います。更にショーンはQ1で感じた車の変化を正確に伝えてくれて、それが非常に有効な情報でした。その情報が無ければポールは獲れなかったと思います。チームとショーンに感謝です。明日はレース直前のウォームアップで、車のコンディションを的確に把握し、結果に繋げられるよう頑張ります」

ショーン・ウォーキンショー選手のコメント

「ポールポジションが獲れて非常に嬉しいです。車のバランスは非常に良く、高木さんはファンタスティックな走りを披露してくれました。ポールポジションを獲れるぐらいチームは良い車を作ってくれて、表彰台を狙えるポテンシャルを持っていると思います」

タイヤ選択に迷いなし、野尻、小林の快走でホンダにとってもチームにとっても今季初優勝

ARTAは記念すべき20周年に両クラスで優勝を果たす事に成功した。両クラスで同時に優勝したのは2013年のSUGO以来だ。

チームはレースで履くタイヤのチョイスに悩んでいた。朝から日差しが強く、我々にとって路面温度が上がる事は望んでいなかったからだ。しかし、決勝直前に雲が徐々に増え風も吹き始めたので、望みどおりのコンディションでスタートを迎える事が出来た。

スタートドライバーは野尻智紀。接戦になる事を予想していた野尻はスタートを決め、トップで1コーナーをクリア。序盤からペースもよく少しずつだが後続との差を広げていった。第1スティントの後半もペースは落ちる事なく野尻は走り続け、32周目にルーティンのピットインを行い小林にバトンタッチした。

先にピットインを済ませていた車両が最終コーナーに迫っていたが、300クラスの車両と接触してしまいコースアウト。2番手のプレッシャーが無くなった小林は燃料が重い状態でタイヤに負担をかける事なく、コースイン後の2周目にはトップにポジションを戻した。その後小林はトップをキープしながら周回を重ねたが、途中300クラスの車両に引っかかってしまい、後続車との差を詰められる場面があった。小林は冷静に周回を重ね見事トップでチェッカーを受けた。


鈴木亜久里監督のコメント

「今までNSXは勝てなくて2年ぶりにボク達のチームで勝たせる事が出来て良かったし本当に嬉しい。このレースは簡単なレースじゃ無いし、本当に価値のある勝ちだと思う。300クラスのメカニック達もSUGOが終わってから不眠不休で車を修復してくれてこの結果を出してくれた。本当に感謝だね。この結果に満足せず、次のステップを目指すよ」

星学文エンジニアのコメント

「今日は路面温度が全てだと思っていました。天気予報では曇の予報でしたが、朝から日差しがあり、気温も高かったので、曇ってくれと祈っていました。決勝直前に予報通り曇りになってくれたのでタイヤ選択に迷いが無くなりました。野尻は最初からペースが良かったのですが、タイヤがどのくらい持ってくれるか心配でした。しかし、野尻のスティントではきちんと走る事が出来て、後半小林につなぐ事が出来れば大丈夫だと思っていたので良かったです」

野尻智紀選手のコメント

「チームが一生懸命積み上げてきてくれたものをようやくカタチに出来てホッとしました。序盤チームからの無線は聞こえるものの、ボクの声がチームに届いていなかったので故障かと思いましたが、ジャックが外れていました。指し直して再び交信する事が出来たので冷静にレースを運ぶ事が出来ました。小林さんも終盤タイヤがキツかったと思いますが、最後まで集中力を切らさず走ってくれたと思います。この優勝でウェイトも増え、次のレースは厳しい戦いになりますが、車のバランスも良くスピードもあり、長距離のレースなのでチャンスは続くと思っています」

小林崇志選手のコメント

「信じられない気持ちです。野尻が後続に10秒くらい差をつけてボクにつないでくれました。序盤燃料が重い時にペースが上がらなくて後続車がミラーに写り始めギャップが縮まってしまいました。その後燃料が軽くなってからペースを取り戻す事が出来てまた差を広げる事が出来ました。しかし、最後の5周くらいはしんどくてペースをなかなか上げられませんでしたが、何とかギャップを築く事が出来て逃げ切れました。ボクは今年500クラスに復帰出来て、その年にこうやって勝つ事が出来て、しかもダブルウインで本当に支えてきて下さった皆さんに感謝します」

メカニックの努力がドライバーを奮起させパーフェクトレースで今季初優勝

高木は前日から決勝の天気を気にしていた。土曜の走行で決勝用のタイヤを試していたが、路面温度が高い状態では性能を十分に発揮できない可能性があったからだ。決勝前は天気が良く、日差しも強くなり始め路面温度も徐々に上がっていった。しかし、スタート進行が始まると雲が増え始め、気温も下がり始めてきた。

ウォームアップで車とタイヤのマッチングを確認し高木はスタートを待った。スタートを上手く決めた高木は序盤からペースも良く、安定したラップで周回を重ねた。徐々に後続車と差を広げていったが、35周を過ぎたあたりからラップダウンの車が増え始めた。ラップダウンの車両の処理でタイムが落ちる事が予想されたのでチームと高木はルーティンのピットインを3周ほど早める事にした。

ショーンに交代し、5番手でコースに復帰したが、冷えたタイヤとは思えないほど速いペースで10周後にはトップに返り咲いた。終盤、2番手の車との差を詰められる場面もあったが、動じる事無くトップを守り続け見事優勝を決めた。


土屋圭市アドバイザーのコメント

「真一もショーンもミスの無い完璧な仕事をしてくれたね。文句の言いようが無いパーフェクトな内容だった。終盤2番手の車が迫ってきたけど、我々の方が有利だと思っていたので冷静にレースを運べたね」

安藤博之エンジニアのコメント

「ポールからのスタートだったので、戦略としては高木さんでマージンを築いて、ショーンに繋いでそのまま逃げ切ろうという作戦でした。タイヤもセッティングもコンディションに上手く合わせる事が出来て、作戦通りに進められたレースでした」

高木真一選手のコメント

「SUGOで車が壊れてしまい、この短い時間でよくここまで持ってきてくれたチームに感謝したいです。レース前は路面温度が高そうで、タイヤとのマッチングが気になりましたが、ウォームアップ走行で確認したところ特に問題無さそうでした。また夕方は徐々に気温も下がっていくので、ますますボク達にとって良いコンディションになると思っていたので、タイヤの心配は無くなりました。しかし、ボクのスティントで周回遅れのマシンが増えてきたので、思うようにペースを維持出来なくなる可能性があったので予定より早めにピットインしました。その後はショーンのペースは素晴らしく、ミスも無くトップでチェッカーまで車を運んでくれました。本当にありがとうございました」

ショーン・ウォーキンショー選手のコメント

「パーフェクトなレースウイークでした。高木さんもノーミスでボクに繋いでくれましたし、後半のスティントの車もタイヤもセッティングも非常に良い状態で戦う事が出来ました。ブリヂストンは素晴らしいタイヤを用意してくれて勝つことが出来たと思います。次のレースも好調を維持してポイントを沢山獲得したいです」